Photo: NASA
地球温暖化の原因が温室効果ガス(CO2)にあるとして世界各国は規制に躍起となっている。一方、気候温暖化とCO2の関係は逆であるとする見方も根強く残る。CO2の増大の傾向は実測された事実であるが、CO2の増加によって植物の成長が助長され砂漠化が食い止められたという意外な事実が明らかになっている。
過去33年間のデータを調べた結果、地球上の植物が育つ地域で、CO2の増加に伴い葉の成長が促進されたことがわかった。この33年間で増えた緑化地域の総面積は米国の面積の2倍になるという。ボストン大学の研究チームによるとこの緑化効果は持続性のあるものではないとしている(Nature Climate Change 25, Apr. 2016)。
増加した植物によるCO2吸収効果は弱まる可能性があるからだ。毎年、神器的に大気に放出されるCO2は100億トンに及ぶが、それらの一部は樹木の幹や土壌に蓄えられるが、それらは一時的なものであり将来の挙動には不確定性がある。つまり今、一時的に大気から覗かれているCO2が放出されれば大気のCO2濃度に強い影響を与える。
異常気候で干ばつで砂漠化が進むことで緑化地域が減少するとCO2濃度が高まるが、CO2濃度が高くなれば植物は順応するので、砂漠化を補うために緑化が進むのではなく、緑化は植物が環境変化(CO2増加)に対応しようとした結果と考えてよい。
緑地の調査には過去33年分のNASAのModisとNOAAのAVHRR衛星データが使われ、植物の成長をモデリングした。その結果、地球全体の緑地増加は32%であった。緑化が進んだのは南米ブラジルとアフリカ中央部が顕著である。
植物は大気中の CO2を取り込み太陽エネルギーで糖鎖を作る。研究によると緑化増加の70%がCO2増加によるもの。つまり高濃度のCO2が植物成長を促進し光合成量を増やして環境変化に適応しようとしたと思われる。ちなみに残りの9%は土壌中の窒素の増加、8%が気候変化によるとしている。この事実は緑地が増加したことを地球温暖化の証拠だと考える人々にとっては不利な事実である。温暖化ではなく温暖化の原因であるとしていたCO2の増加が、緑地を増大させ地球環境のクリーニングに一役買っていたからである。
研究結果は地球温暖化に懐疑的な人々には都合の良い結果ではあるが、CO2を一時的に植物に蓄えることは永久に続くものではないことを考慮しておかねばならない。温暖化によって気候変化や海水面の高さに変化があれば緑地に影響が及ぶ。また植物がCO2濃度に適合を完了すれば、効果が薄れるからである。