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クパチーノに近未来的な新社ビルを建設中のApple社が、10月27日に2015年度氏も四半期の業績を公表した。収益24.5%増というタイトルが踊る発表は同社の販売が好調であることを強調したものである。しかし中身をみれば極端な売り上げの偏りが目立つとともに中国市場によって助けられた販売のカラクリがみえてくる。
数字だけを見れば、売り上げは515億ドル(6兆1,800億円)、利益は111億ドル(1兆3,320億円)でとなる。数字上は好調そのもので、これを反映して2015年度年間売り上げは2,337億1,500万ドル(28兆円)を超えることとなった。日本の国家予算規模の売り上げを記録した2015年度決算は最終的に28%増という驚異的な成長となった。
Designed by Apple in California
Apple社の売り上げの60%以上は海外向けであることは、かつての日本企業の一人勝ち状況を彷彿とさせる。しかしかつての日本の電子機器メーカーを想起させるような投資家の将来の不安材料となる事業内容となっている。看板であるiphoneの販売が70%を占めている。スマホの販売に陰りがみえ始めているのに比率は年々高くなる一方で、MacやiPadなどのPC、タブレットの成長への寄与は少ないことに投資家たちは将来の不安感を覚える。PCが全盛の時にIBMのCEOは"PC is Over"と言ってその言葉の通りにあった。明らかにスマホはピークを越えていてIphoneとて例外ではない。
6sの販売が減速したが、新鮮さが不足しているのか、キャリアの2年縛りに同期した2年ごとの新型モデル販売では限界があるのだろうか。マイナーチェンジの周期1年はスマホ在庫が増えている中国では早すぎる。新型モデルの売れ行きが減速が早かったことは、案外、期待感と現実のギャップにあるのかもしれない。未来技術を小出しにして飽和しかけた消費者層にマイナーチェンジで販売促進することはなんとなく自動車産業に似てきた。消費者がアップル社に期待するのは新しいガジェットなのだ。
型落ちモデルで満足する中国人
海外展開で際立つのはアジアが36%で米国内の41%に近いことだが、中でも中国の22%は際立っている。毎年中国を訪れるたびにiphoneを持つ人たちが増えていることに驚く。しかも大半が型落ちモデルなのである。アップル社は2011年の4s以降にiOS9をサポートしているが4以降は現役で活躍している。最新型の6あるいは6sを所有している人は富裕層の特に女性が多く、若い世代の多くは5や5sなど型落ちモデルである。
大手キャリアが中古モデルで格安に購入させているから、富裕層でなくともiphoneを持てる。日本でも4インチ旧型モデルの人気が高いが、中国人も型落ちモデルのスペックに満足して使っていて、新型には興味がないという。ちなみに多くの若者は町中に溢れた無料WiFiを利用するのでパケット契約をしていない人が多い。Iphoneはハイエンドスマホの典型だが旧型モデルを持つ中国人たちが欲しがる新しいガジェットは現れるのだろうか。