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スパコンの用途として複雑な気候モデルの計算がある。「地球シミュレーター」が国内では有名であるが、世界中の気象研究所や気象予想機関には必ずスパコンが備えられて膨大な気象データ、衛星データを入力され気候モデルによる気象予測計算を行っている。しかし計算の結果が最近顕著になっている異常気象を予測できないなど、実際の気象と誤差が増えてきている。
NOAAは昨年に続き計算機システムをアップグレードしてGlobal Forcast System(GFS)と呼ばれる気象シミレーションシステムのグリッド分解能を27kmから13kmに向上させる。4Dモデルではグリッド毎の気象データの時間変化を含めて扱う。これによって気象データ入力した瞬間からの時間変化を細かい地域毎に予測できるようになるので、天気予報に威力を発揮する。
NOAAでは異常気象に見舞われる北米の気象予報の必要性に追われて一連のアップグレードを行ってきたが、GFSアップグレードは締めくくるものである。GFSは1日に4回の計算を行い16日間の予測結果をだすが、アップグレードによって以前の3時間毎から1時間毎の予測が得られることになる。
これには上空の氷結予想も含まれるため、航空機の安全な運行に効力を発揮する。また新たにJPSSとGOES-Rの衛星データを反映することになるが、後者はこれから打ち上げる新しい衛星で、30秒毎に気象パターンと嵐のイメージ画像を送信する予定で、ハリケーンの進路の高精度予想も可能になる。
下の図はGFSデータの例。
Credit: NOAA
NOAA気象データはオープンアクセスであるので世界中の航空機運用に恩恵があるほか、地球気候変動の研究に貢献が期待される。しかしそのためにスパコンの導入やソフト開発も含めて膨大な予算も必要になる。説明責任を果たすため各種ソーシャルメデイアの力を積極的に利用するのはそのためである。
NOAAに限らず公共サービスを行う国立研究機関でもこれまでの広報活動から一歩進んでソーシャルメデイアを使い、研究の時間を割いて教育現場に出かけて行っては理解を深める活動を行わざるを得ない現状である。しかし研究にかける時間が削られては元も子もない。教育現場で公共サービスの説明を授業に取り込み効率的に社会が一体となって取り組む必要がある。