Image: Naval Open Source INTelligence
スーパーキャビテーションを用いた高速潜水艦の開発が米海軍や中国海軍によって進められている。水中移動では水の抵抗が速度を決めているが、スーパーキャビテーションで巨大なバブルを作れば抵抗を激減させ、原理的には超音速で移動することもできる。
構造は下図に示すように艦首にバブル発生器を置き巨大なバブルを発生させて船体が直接水と接触しないようにする。もともとこの技術は冷戦中にソビエト海軍が開発したもので、映画化されたトム・クランシーの小説「レッド・オクトーバーを追え」ではスクリューを用いない無音推進装置「キャタピラー・ドライブ」が紹介されている。
Source: Boston University
魚雷にこの技術を応用すれば潜水艦の攻撃力に革命的な変化を及ぼす。ソ連海軍が開発したスーパーキャビテーション超高速魚雷”Shakval”は時速370km/hというとてつもない速度を誇った。2001年のカルテックの報告では原理的にはスーパーキャビテーション推進による最高速度は5,800km/hという。この速度では世界一周が100分で済むことになる。ここ技術が実用化されれば海軍力への効果は計り知れない。
Source: slidesshare.net
克服すべき最大の問題はスーパーキャビテーションに隠れて無抵抗で移動する際に、作られたバブルが収縮を繰り返し渦流の脈動を生じることである。バブルの膨張と収縮の繰り返しで航行が不安定になる。脈動のないバブル発生のためには計算と実験の繰り返しが必要で解決には時間がかかる。
そのためには脈動を打ち消す位相の成分を発生させて空気トンネルのようなバブルの定常状態を作る必要がある。スーパーキャビテーション航行が可能になれば民間の貨物運搬船にも応用できる。中国海軍は超音波でばぶルを作り抵抗を減らす技術を開発している。