観測史上最高に明るい銀河を発見

30.03.2016

Photo: mexico institute

 

メキシコにある巨大な電波望遠鏡(LMT)(注1を使ってマサチューセッツ大学の研究チームが新しい「極超輝度の銀河」を発見した。この銀河はこれまで発見された最強輝度の巨大銀河で、正式な名前もまだつけられていない。

 

(注12006年から稼動しているメキシコのシエラネグラ山頂(4,600m)に建設された口径50mの世界最大の電波望遠鏡。波長は0.85mmから3mmまでのミリ波を用いる。2016年に完成予定の中国の電波望遠鏡は口径500mで稼動すればLMTを抜いて世界最大の電波望遠鏡となる。ただし地上のくぼみに設置された固定式望遠鏡となるため、望遠鏡の方向を自由に選べる電波望遠鏡としては、LMTが世界一の座にある。LMTの角度精度は5m/sec以下の風のあるときに1秒以下で、補正すれば75マイクロ秒となる。

 

今回発見された銀河では超新星が1時間ごとに生まれているほどの輝度に対応する。研究チームによると理論では予測できないほど明るい銀河は存在しないと考えられてきた。銀河の明るさが1兆太陽光度(太陽の明るさを基準とした輝度の単位)以上のものは「超輝度」、10兆太陽光度以上は「極超輝度」に分類されるが、後者を超える輝度(100兆太陽光度以上)の銀河はこれまで存在しないとされてきた。

 

 

今回見つかった銀河は100億年以上前に創成されたもので、研究によって宇宙の起源とされるビッグバンに迫ることができる。その起源と40億年の間の成長の様子を知ることによって、ビッグバン後にどのくらいの物質が存在していたかが推察できるからである。そのためこの銀河を調べることで宇宙の起源に関する知見をもたらす。その規模(輝度)が従来の理論の枠外にあることから、すでに宇宙の起源はこれまで考えられてきたより、もっと複雑なものであることが想像できる。

 

重力波によって巨大な質量の恒星(太陽)の近くを光が通る時に、光路が曲げられてレンズ効果で地球上で観測する時に10倍に増幅される。今回の極超輝度を超える輝度は重力レンズによる見かけ上の結果とも解釈できる。重力レンズ効果とすれば「極超輝度」のカテゴリなので不自然ではない。

 

 

Source: Wiki

 

 

 

「重力レンズ効果」が起きることも考えられるが、レンズとして働く巨大な質量の他の天体が今回発見された銀河と地球を結ぶ直線に近く存在する確率は非常に低いので、「極超輝度」銀河はそれ自身の輝度が高い可能性が高い。