イタリア上下両院で反EU、EU懐疑派が台頭

29.03.2018

Photo: pakistantoday

 

 3月4日に行われたイタリアの総選挙後に、既存の政党から反EUやEU懐疑的な立場をとる新興政党へと政党勢力が大きく移り変わっている。議会下院の議長のポストを初めて獲得したのは「五つ星運動」で、上院の議長となったのは中道右派連合のフォルツァ・イタリアである。

 

 総選挙では、中道右派連合の獲得投票は37%で、北部同盟の支持率はベルルスコーニ元首相が率いるフォルツァ・イタリアを上回った。五つ星運動は32%で、いずれの政党も過半数の議席を獲得できず、新政権の発足には連立政権を樹立しなければならない状況にある。

 

 両党は連立を当初から否定してきたため、上下両院の議長選出が決まらない懸念があっただけに、協議で両院の議長が決まったことは連立政権に向けての第一歩となる。政治の空白が長期化することが避けられ、4月上旬には連立協議が始まる予定となっている。

 

ベルルスコーニ元首相が進める連立

 ベルルスコーニ元首相は中道右派連合と五つ星運動の連立で新政権発足を進めている。両党の間で政策に大きな隔たりがあるが、減税、社会保障予算の拡大やEU財政基準に従わないなどの政策で合意できる面もある。ユーロに関しては、中道右派同盟の北部同盟は単一通貨のユーロではなく、独自通貨に切り替えることを提唱しているのに対して、五つ星はユーロの継続を主張、EU懐疑感に温度差がある。

 

 しかし、中道右派連合と五つ星運動の両党は、ポピュリズム、反EU、反既存政治体制で躍進した政党という共通点があり、大幅な調整で連立が組まれる可能性は(両院議長の選出のように)実現する可能性がある。連立政権が発足すれば、EUを大きく揺るがす政権となる。

 

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