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不法移民の問題は何年もの間、論争の焦点となっている。米国民の雇用と安全を脅かす存在になったにも関わらず、保守とリベラルの思想対立の一つである。アメリカ国土安全保障省の2017年調査では、不法移民数は約1,110万人で、アメリカ人口の3.5%を占めると推定される。この数値は国勢調査局の社会調査のデータに基づいて推定したものであるが、不法移民の推定数字は実態を反映しているのかは、これまで明らかではなかった。
このほどイェール大学とMITの研究チーム(Mohammad M. Fazel-Zarandi, Jonathan S. Feinstein, Edward H. Kaplan) は1990~2016年の人口データを基に人口統計モデルを用いて、米国に在住している不法移民は2,210万人と推定した。この2,210万人という数値は変数を変えた100万通りのシナリオを基に出した不法移民の推定平均である。控えめな見積もりでも、不法移民数は1,670万人と推定、政府が発表している正式な不法移民数を大幅に上回っている(下図)。
従来の不法移民数の推定は、アメリカ以外の外国生まれの人口から合法的に認められた外国生まれの人口を差し引いた人数である。今回の調査では、メキシコ国境での不法移民の指紋数、ビザが切れた不法滞在者、強制送還された人数などの人口インフローとアウトフォローに関する新たなデータの数々を用いて不法移民数を推定している。
2,210万人に登る不法移民が在住しているとなったら、これまで過小に推定してきた約1,110万人の不法移民数を基に政府が遂行してきた政策は見直しが必要となる。平均推定値の2,200万人がより実態に近い数値であれば、これまで把握してきた不法移民数の約倍になる。不法移民人口が雇用、賃金、犯罪、社会保障、生産性、教育など広範な面でアメリカ社会に与える影響を見直さなければならない状況になる。
これまで不法移民の実態は明らかになっていなかったが、移民の支持が多い政党による隠蔽と偏向報道によって、黙殺されてきたがトランプ政権によって実態が明らかにされつつある。
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