9/11から17年で何が変わったのか

16.09.2018

Photo: 911memorial

 

 今年は9/11同時多発テロ事件から、17年の節目を迎えたが、この17年で何が変わったのだろうか。テロ組織のアルカイーダ撲滅を目指して始めたはずの「テロとの戦い」は終わりが見えない戦いとなり、アルカイーダはむしろ以前より勢力を増している。また社会は混乱し数100万人規模の難民が欧州に殺到した。17年過ぎた米国では、9/11関連の癌を罹患している人は約1万人に達し、その人数は増加している。

 

終わりが見えない「テロとの戦い」

 米国は現在アフガニスタン、イラク、シリア、イェメン、ソマリア、パキスタンを含む19カ国で「テロとの戦い」の軍事活動を行っている。ブラウン大学のレポート「戦争プロジェットのコスト」によると、9/11後のアフガニスタン、イラク、シリアでの戦争コストは2018年末には56億ドルに達すると報告している。「テロとの戦い」でアフガニスタンでは民間人31,000人、イラクでは50万人以上と人命の犠牲も高い。

 

 9/11の報復とアルカイーダを撲滅する目的で始めたアフガニスタン戦争は未だに続いており、アメリカ最大に長い戦争となっている。トランプ大統領の選挙公約でもあるアフガニスタンからの米軍撤退を果すどころか、テロ事件は増加、タリバン勢力が再び増大したとして、アフガン派遣の米兵を14,000人に増加した。

 

 一時勢力が低迷していたアルカイーダも、米軍のISIS(アルカーイダから分裂した勢力)との戦いで、漁夫の利を得て勢力を復活し、これまで以上の勢力になりつつある。「テロとの戦い」が開始されてからの17年間で、中東や北アフリカ、東南アジアなどを拠点とするネットワークを作りあげたのである。

 

続く米最大規模の法医学的鑑定

 9月11日時点で、グラウンドゼロから回収した遺体部分から犠牲者の身元の約66%がこれまで判明したが、法医学的鑑定技術の限界(多くの骨はグラウンドゼロでの高温の炎、カビ、紫外線、ジェット燃料、デイーゼル燃料、バクテリアなどにさらされ、DNAが破壊されている事や、遺体部分が他のがれきに混じって発見が難しいなどで34%の犠牲者の身元がまだ明らかとなっていない。技術の進歩に期待をかけ、9/11テロ事件から17年たっても米最大規模の法医学的鑑定は続いている。

 

約1万人が癌に罹患

 世界貿易センターヘルスプログラムの調査によると、9/11関連で癌に罹患していると診断されている人々は約1万人である。ファースト・レスポンダー(現場で最初に対応した救助隊、消防隊、救急隊、警察)、サバイバーたち、ダウンタウンに勤務している人々、近隣住居者がビル崩壊で発生した有毒ダストを吸引したことが原因とされる。

 

 ビルのコンクリートの粉塵、アスベスト、ベンゼンやPCB、燃えたジェット燃料、コンピューターなどのオフィス機械種の燃えたあとなど約400種類を超える化学物質が混じった有毒ダストが放出され、それを吸引し癌で亡くなった人はこれまでで420人。現在9,375人が癌を罹患している。その他に、43,000人がPTSDを含む9/11関連の健康関連の病気に認定され、将来癌に罹患する確率が高いと人々である。

 

真相は未解明

 WTC倒壊時に付近にいた米国人は高い率で甲状腺癌、急性骨髄性白血病、皮膚癌、乳癌に罹患している。今後問題となるのが、癌を発症する人々の数が増加することである。同時多発テロ事件以降に設立された73億ドルの9/11犠牲者補償基金も40億ドルがすでに使われている。癌を発病、病気が深刻化していく患者が時間の経過と共に増える一方で、補償金不足の事態になるのは避けられない状況にある。

 

 9/11のWTCビル崩壊に関するNISTの報告書は、科学的に誤りであることが検証され、米国民の70%が信用していない。また初期救出活動で犠牲となった200名以上の消防隊員が確認している複数の爆発物を仕掛けた犯人は誰なのか、謎は深まるばかりである。9/11から変質したとされる米国社会が元に戻るのに真相解明は避けて通れない。9/11は世界のテロリズム拡散と社会混乱のまさに原点であり、真相解明の努力はこの先も続かなければならない。一部の真相解明を地道に続ける人たちの努力によって、9/11の背景がようやく見えてきたこの17年は決して無駄ではなかったといえるだろう。

 

 

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