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シリコンバレーの巨大IT企業は、アップルが最近株式市場の評価で1兆ドルを突破していることが証明されるなど、ウォールストリートで大きな勢力となったとみる向きも多い。しかし同時にそれは、新しいITバブルがはじける時期が近いとする慎重な意見もある。
アップルは歴史的な市場価値1兆ドル相当の評価を得たが、株価に基づけばこれに続く3大企業は明らかだ。アマゾンは890億ドル、グーグルの親企業アルファベットは8,560億ドル、マイクロソフトは8,280億ドル、Facebookは5,130億ドルと評価されている。
これらの企業は米国のGDPの約20%を占め、額面上はドイツのGDPを上回っており、ハイテク株は、米国で上場している500社以上の大手企業を含むスタンダード&プアーズ500の時価評価総額の25%以上を占めている。
1999年の終わりのITバブル崩壊前に、株式市場の5つの大企業(マイクロソフト、ゼネラル・エレクトリック、シスコ、ウォルマートとIntelは)米国のGDP、AJベル投資の15.5%を占めていた。アップルに続いて時価総額1兆ドル越えを確実視されているのは次の3社である。
アマゾン(市場価値:8,890億ドル、1兆ドル越えまであと12.5%)
ジェフ・ベゾス率いるアマゾンは、市場全体の約50%の小売電子商取引を占めるが、今後も収益を成長を維持すると予想されている。6月に終了した四半期に、52.9億ドルの売上高と25億ドルの利益を上げ、それぞれ31%、23%の年間成長率を記録した。
アルファベット(市場価値:8,510億ドル、1兆ドル越えまであと17.5%)
グーグルはインターネット検索を事実上支配している。この検索エンジンの親企業アルファベットの収益の要で、32.7億ドルの売上高と 3.2億ドルの利益を記録した。それは今年の第二四半期の、欧州委員会によって課せられた$51億ドルに及ぶ罰金を含めている。アルファベットの収益の将来性は衰えを見せないが、自己投資も怠らない。同社は、第二四半期には、このような自動運転のウエイモの研究開発に5.1億ドル費やし、人工知能プロジェクトにも積極的な投資を行なっている。
マイクロソフト(市場価値:8,300億ドル、1兆ドルまであと20.5%)
サトヤ・ナデラCEOの下で、マイクロソフトはハイテク業界で最も急成長している事業の一つであるクラウドサービスに転向し、億売上高30.1億ドル、利益9.6億ドルで躍進を遂げている。
これらの巨大IT企業は市場価値1兆ドル越えが約束されており、アップルの後に続くことは間違いなさそうである。しかし将来、新技術の予期せぬ展開でとともに知的産業革命が起こるときに、生き残れるか、というと疑問である。また情報操作の疑惑や過度な市場独占が許されるはずもなく、将来的には法的規制や企業分割は避けられない。
検索エンジンや人工知能による補助などインターネットに依存度が高すぎる。高額なパケット料金やネット環境の利用できない地域も多い。しかし1兆ドル越えのIT企業もこれらの基本的な問題解決には寄与していない。グーグルがネット環境改善のための気球や衛星を計画しているが、「焼け石に水」であり恩恵を受ける人は少ない。
IT技術には予想できない展開がありえる。また新興IT勢力を目指すインドの台頭や世界経済の鈍化の要因もある。IT技術神話だけが盤石とはいえないだろう。