コンゴ都市部で脅威となったエボラ出血熱

18.05.2018

Photo: nbcnews

 

 アフリカ中部のコンゴ民主共和国の人口約120万人の都市部で17日、エボラ出血熱感染者が確認された。11日にエボラ出血熱が農村地域で発生してから、感染者44人、うち23人の死亡者がでている。確認された感染者は、今回流行が始まった町ビコロから150キロ離れた都市部(西部・赤道州都市ムバンダカ)で、コンゴの首都キンシャサ(人口1,000万人)の上流に位置していることから、今後感染が拡大していくのが懸念されている。

 

 1976年にエボラウイルスが発見されてから、コンゴでエボラ出血熱が流行するのは9回目である。2014年西アフリカ(リベリア、シエラレオネ、ギニア、ベナン、ナイジェリア、ルワンダ、ガーナ、コンゴ、ベニン、スーダン)の流行では30,000人が感染、 11,300人が死亡している。

 

 都市ムバンダカはコンゴ川とルキ川の合流点近くに位置し、河港としての物流や人の移動拠点となっていることから、エボラ出血熱が流行すれば、これまでない拡大の可能性が懸念される。

 

WHOの対応

 今回と2014年のエボラ出血熱の流行の時と大きく異なるのが、今回WHOが拡大を防止するため、試験中のワクチンを準備していることである。2015年にギニアで臨床実験が行われ、効果が確認されたワクチンである。しかし、その量も十分であるかは不透明で、ザイール(現コンゴ民主共和国)株のエボラ出血熱に効果があり、別の株や突然変異したウイルスであれば、その効果は不透明となる。

 

 今回の発生で最も懸念される問題は都市部に近いことでいったん都市部で感染者が出れば閉じ込めが難しく多くの犠牲者がでる可能性があることだ。またBBCによれば治療にあたる医師はワクチンは感染者への投与では効果がないと語っていることやワクチンの低温管理が必要で使いにくいことも懸念材料である。

Updated 18.05.2018 18:36 JST

 

コンゴのエボラ出血熱の状況は悪化をたどっていることが判明した(BBC)。WHOはパンデミックのリスクアセスメントを"High"から"Very high"に変更した。

 

頼りになるワクチンが低温でしか保存できない特殊なもので、感染地域まで数100kmをUNの輸送機とヘリコプターで移送する困難さの他に、活動資金が不足している。

 

必要な2,500万ドルに対して準備できたのは700万ドルで不足が大きい。感染者に接触した住民

予防摂取としてのワクチン投与を施しているが、感染者は増えている。