ロンドンの犯罪都市化

08.04.2018

Photo: sott.net

 

 2016年以来、英ロンドンで暴力的な犯罪が増加している。刃物や拳銃の犯罪、窃盗、盗強、強姦、殺人、ヘイトクライムなどが大幅に増加、同じ人口を持つ犯罪都市の米ニューヨークを初めて上回る殺人件数を今年の2月と3月に記録した。

 

 ロンドンの市長公安室(MOPAC)が発表した最新レポートによると、2015/2016から 2016/2017に殺人件数は27.1%、窃盗は33.4%、盗強は31.3%、盗みは33.9%と大幅に増加している。特に深刻なのは、若者の間での殺人件数で、その増加率は70%であった。また、刃物を使っての犯罪が増加(31.3%)しており、最近の犯罪増の特徴ともいえる。

 

 強姦は18.3%、最も厳しい拳銃規制がある都市にも関わらず、拳銃による犯罪は16.3%増加している。ニューヨークと比較しても、ロンドンはニューヨークより窃盗にあう確率は6倍、盗強は1.5倍、強姦は3倍と高く、殺人にあう確率もニューヨークに近づいているのが現状である。

 

 ロンドンでの硫酸・塩酸・硝酸などの酸系劇物を他者の顔、頭部や身体にかけて火傷を負わせるアシッドアタックの件数は今では世界一である。中東アジアや東南アジアを中心に盛んである犯罪(被害女性の外見に被害を与え、苦痛を与えることを目的とする復習や争いで使われる犯罪行為)だが、その件数を上回り、ロンドンでは2017年に800件以上が報告され、増加している。アジッドアタックは主に移民が多い地域で多発している。

 

 サディク・カーン氏が2016年にロンドン市長に就任してから、ロンドンの暴力的な犯罪が増加している。犯罪増加の背景には多くの移民を受け入れ、移民に対する警察による職務質問(stop-and-search)を規制(注1)、社会での差別廃止の行き過ぎたポリティカル・コレクネスなどで犯罪に寛容な態度を取ってきたこと、警察予算の縮小などがあげられる。

 

(注1)職務質問が人権を無視した差別的行為であるとして犯罪者に寛容な社会を作ったことで犯罪の防止率や逮捕率が低下した。