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テレサ・メイ首相にとって今回のロンドン地方選挙は、議会でブレクジットへの反対勢力の台頭の中、国民の支持の度合いをはかるバロメーターとして重要な意味を持っていた。
5月4日金曜日、2/3開票時点でメイ政権のさらなる弱体化につながる保守勢力の後退はなかったことは、ブレグジットの基本姿勢に変化がないことがはっきりしたと言える。保守党もブレグジットを巡って内部闘争が激化しているが、それでも労働党の勢力後退ははるかに深刻な結果となった。
メイ政権はサッチャー以来、保守勢力の拠点であるワンズワース協議会(注1)の主導権を取ろうと必死だが、労働党にとってもこの自治区の覇権は今回のロンドン地方選挙の目標の一つとされていた。
(注1)ワンズワース区はテムズ川に面したロンドン自治区の一つ。協議会は自治区会の最高議決機関。
今回の労働党の後退は今後、ロンドン自治区での選挙活動に力を入れる必要性を示す結果となった。自治会議席(4,400)は150の公共サービスを提供する自治会組織を決定する権限を有する。協議会(自治区会)はメイ政権がかろうじて過半数をえる議会への直接的影響力はない。
保守党の優勢は明らかでロンドン市政の象徴的な意味合いを持つウエストミンスター自治区も押さえ、獲得議席数は選挙予想の最低ラインをクリアした。与党の支持層が揺らいだため、保守勢力の大敗も予想されたがメイ政権の地盤を揺るがす大敗は避けることができた。
一方、コービンは、党内の反ユダヤ主義の激しい批判に晒されてきたが、元ロシアスパイの暗殺未遂事件やシリアミサイル攻撃に際しても判断を誤ったことが痛手とな利、盤石であるはずのバーネット自治区でも保守党に敗退した。反EU英国独立党(UKIP)は大敗を喫したが、保守党はブレグジット肯定派の多いピータースボロなどの郊外でも議席を確保し、衰退しかけた勢力を取り戻せた。もともとブレクジットを目的に掲げていたUKIPはブレクジット達成で目標を失うとともに衰退していた。
保守党にとっても勢力を伸ばそうとしていたマンチェスター北部のトラフォード地区の協議会を失うなど課題も見えてきたが、ブレグジットの実務を進める体制が固まり、反ブレグジット派への圧力が高まる選挙結果となった。
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