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メキシコのシンクタンクSeguridad, Justicia Y Paz(公安、正義、平和のための市民協議会)は2017年の「世界の最も危険な都市トップ50」を発表した。世界各都市の人口10万人あたりの殺人件数を調査、殺人発生率で危険度をランキングしたものである。トップ10にプエルトリコを含めると5つの米都市が含まれている。
世界の最も危険な都市ランキング
2011から毎年行っているこの調査では、当初は約84%の危険都市は中南米国に集中していた。今日でも、麻薬カルテルやギャング間の抗争、政治不安、経済破綻、汚職、深刻な貧困などが殺人発生率を高める原因となっている。
最も殺人発生率が高い都市を抱えている国は、ブラジルの17都市に続き、メキシコの12都市、ベネズエラの5都市、米国の4都市と米自治領域のプエルトリコのサンフアンである。米都市では、セントルイス(第13位)、ボルチモア(第21位)、ニューオーリンズ(第41位)、デトロイト(第42位)とサンフアン(第32位)がランクインしている。
FBIの調査では10年前から、セントルイス、デトロイト、ニューオーリンズ、ボルチモアはアメリカの最も犯罪の多い都市のトップ5に含まれている。2005年に起きた最大級の被害をもたらした超大型ハリケーン・カトリーナから復興ができない南部都市のニューオーリンズやセントルイス、自動車産業の衰退で2013年の財政破綻デトロイト市は犯罪や殺人発生率が常に高い。
社会構造の変化が犯罪都市化に影響
これらの都市に共通しているのは、製造業の空洞化による高い失業率、深刻な貧困(25%~45%の貧困率)、薬物常用者が多く、麻薬ビジネスが栄えている、経済破綻している又は破綻危機にある、ギャング組織が活発など中南米国と似た特徴をもっている。
以前のようにニューヨークやロスアンゼルスなどといった大都市ではなく、今では殺人件数が高い、犯罪率が高いのは製造業の空洞化で中産階級が崩壊した地域や都市である。米国の犯罪都市が世界ランキングの中で上昇傾向が続いていることは社会構造の変化と関係が深い。トランプ大統領が製造業の復活を重視するのは、米国の中南米都市化を食い止めることにある。