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米中間選挙を巡って民主党が期待する「ブルー・ウエーブ(民主党勢力拡大の波)に対し、トランプ政権支持者の共和党は「レッド・ウエーブ(共和党勢力拡大の波)」を期待している。連邦議会の上院では共和党が多数派を維持することが確実となったが下院でも「トランプ津波」で多数派となる可能性が高い。鍵となるのが、民主党による選挙不正と妨害の規模、黒人やヒスパニック有権者の動向である。
Blexit
米国で今注目されている運動の1つが「Blexit(Black Exit)」である。黒人が民主党から離脱することを意味する。黒人女性保守派コメンテータでトランプ支持者であるCandace Owensが奏者者で、黒人若者に多大な影響力を持つミュージシャンのカニエ・ウェストが積極的に参加している運動である。
共和党のエイブラハム・リンカーン大統領は南北戦争を終わらせ、奴隷制度を廃止した。当時、奴隷制度、その後KKKを支持してきたのは民主党で、黒人は共和党支持であった。黒人の支持が共和党から民主党に変わるきっかけとなったのは1930年代ルーズベルト大統領によるニューディール政策により黒人も恩恵を受けたことである。その結果、アフリカ系アメリカン人は民主党支持へと流れた。
南北戦争や奴隷制度について歴史家のケネス・M・スタンプ氏は著書『アメリカ南部の奴隷制度』で、プランテーション(大規模農園)奴隷制度の特徴を5つあげている。その特徴は、①荒廃した住居、②家族の崩壊、③暴力の必要性、④黒人奴隷の間での無気力や絶望感と⑤奴隷とその所有者との相互依存関係である。この特徴は奴隷制度が廃止された現在でも、作家で歴史家のディネシュ・ドゥソウザ氏はプランテーション奴隷制度に取って代わって黒人は「民主党プランテーション」に置かれ、そこには同じ特徴があると指摘している。
この考えがBlexit運動の中心となっている。黒人の社会の中での地位の向上、人種差別の撲滅, 黒人雇用の創出、黒人コミュニティーの環境改善などを選挙公約として、黒人支持を集めてきた民主党だが、一向に改善されない黒人が置かれている状況が民主党プランテーションで、そこから脱することが運動の目的となっている。社会保証を与える代わりに民主党支持を受けるという相互依存関係からの脱却である。
これまで黒人有権者の約9割が民主党支持者といわれてきた。だが、ここに来て、Blexit の運動と黒人を中心とするトランプ大統領の教育、雇用、犯罪、特に犯罪の高い都市に関する政策で2016年に8%の黒人有権者の支持は2017年には19%、2018年8月には36%にまで上昇したのである。最新のRasmussen世論調査(11月2日)では黒人有権者の間でトランプ支持はさらに拡大して40%に達している。
民主党の基盤のひとつである黒人有権者層の信頼がゆらいでいる。