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イタリアのマッタレッラ大統領が、サボーナ氏の経済・財務相起用を拒否したことで、連立政権の新首相に指名されたジュゼッペ・コンテ氏は首相ポストを辞任、組閣発足を断念した。イタリア政治史において、選挙で勝利した政党、議会で過半数を占める野党が組閣発足に当たり、前政権の現大統領が大臣候候補えお拒否することは前例のないことである。
五つ星・北部同盟の連立は今後、イタリア憲法第90条により、マッタレッラ大統領の弾劾手続きを進める方針を明らかにしている。選挙で選ばれていない大統領が国民によって選ばれた政党の組閣発足を阻止した行為が憲法に反しているとの主張である。EU、ドイツやフランスによるサボタージュ、政治クーデターとの認識が国民の間でも広がりを見せており、既存の政治体制への不満、反EU感情が高まって、社会が不安定な事態になる可能性が高くなっている。
組閣断念により、28日にマッタレッラ大統領はIMFで過去に財務局長を務めたカルロ・コッタレリ氏を断定政権の首相に指名した。議会の賛成多数が得られなければ、遅くても8月までに選挙が行われると思われる。賛成多数が成立すれば、2019年度予算を成立した後に解散、選挙は2019年に開催される見通しである。だが、過半数を握る五つ星・北部同盟の連立は賛成に回ることはあり得ないため、年内に総選挙が行われる可能性が高くなった。
今回の騒動でマッタレッラ大統領を動かす勢力と国民との利益相反が明らかになり、根底にある問題が見えてきたといえる。また今回の政治混乱の背景には財政問題がある。それらに関しては是非、以下の関連記事を参照していただきたい。
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