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イタリアのマッタレッラ大統領が暫定政権の発足を進めていた間、水面下で五つ星と北部同盟は再び新政権発足に向けての調整を行っていた。31日には連立政権樹立で合意、コンテ氏は再び首相に指名され、同氏が提出した閣僚名簿をマッタレッラ大統領は承認したのである。6月1日には、就任式が行われ、イタリアで新政権がスタートした。
新政権閣僚
新政権閣僚の注目は、北部同盟を率いるマッテオ・サルヴェーニ書記長と五つ星運動を率いるルイジ・ディマイオ氏が同格に副首相に就任することである。また、経済財務大臣の指名が承認されなかったパオロ・サボーナ氏は欧州政策担当大臣として承認され、経済財務大臣にはジョバンニ・トリア氏が就任した。閣僚大臣ポストは五つ星と北部同盟から選出された。
ルイジ・ディマイオ 労働経済発展大臣兼副首相
マッテオ・サルヴェーニ 内務大臣兼副首相
ジョバンニ・トリア 経済・財務大臣
パオロ・サボーナ 欧州政策担当大臣
エンツォ・モアベオ・ミラネシ 外務大臣
ジョルジェッティー 首相補佐官
両党支持率の上昇
サボーナ氏の経済財務大臣指名を大統領が拒否し、新政権が発足できない状況に追い込まれた以来、反EUの北部同盟の支持率が上昇している。最新の IPSOS世論調査によると、3月の選挙で得票率が17.4%であった北部同盟の支持率は25.4%に上昇している。SWGとDemopolisの世論調査でも北部同盟の支持率はそれぞれ24%と26%であった。EU懐疑的な立場をとる五つ星の支持率は30%前後で安定している。この支持率上昇の背景にあるのが、反EUの国民感情の拡大である。
北部同盟への支持率上昇を反映して、新政権の閣僚構成にも変化があった。主導権を握っていた五つ星との差を縮めた北部同盟が対等の立場となったのである。そのことを示しているのが、ディマイオ氏とサルヴェーニ氏両者の副首相への就任である。
新政権に国民の期待が集まる理由
政治波乱の結果、反EU勢力が台頭したことは注目に値する。EU加盟国の中で生産性が低く取り残された存在であること、EUの緊縮財政政策で雇用対策や経済刺激対策が導入できず、経済低迷が深刻化したこと、多くの銀行が破綻リスクを抱え、金融危機のリスクが重くのしかかっていること、EUの移民政策で社会不安を招いたことなどイタリアの直面する問題は深刻である。。北部同盟の支持率上昇の背景には、北部の産業空洞化で失業率が増大したことがある。双頭政治となった新政権への国民の期待は大きい。
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