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昨年から量産車、モデル3の量産体制が整わず利益をあげられないテスラ社は、ついに下半期に利益をだすためのコスト削減策として約3,600人の正規労働者を解雇に踏み切る。
マスクCEOは、火曜日に従業員に対して、この削減額は全従業員数4万人の約9%に相当するとした。現在生産計画が大幅に遅れているモデル3の生産効率を上げるため、工場労働者は影響を受けないという。
しかしテスラ社は15年間の事業で年間利益をあげておらず、四半期純利益はわずか2期にとどまる。今月の同社の年次株主総会で、マスクCEOは、カリフォルニア州パロアルトの工場の7~9月期の四半期利益を計上するとしているが、今回の従業員解雇で利益を出せるかどうかは依然として不透明だ。
テスラが労働者を解雇したのは初めてではない。同社は昨年秋にも400人から700人の労働者を解雇し、2008年には少数を追加解雇している。なお今回の解雇も組織改革の一環で生産性の向上のためだとしている。
解雇は技術者、営業、その他の工場労働者以外の職種であり、今後数年以内に販売が予定されているEV トラックやピックアップ、新型SUVの生産に支障が無い範囲だとしている。テスラ社の株式は今回の発表で2.5%増の340.34ドルとなった。
6月末までにモデル3の生産目標(週当たり5,000台)を達成することが依然として収益性の改善に不可欠である。 また現在の生産中のモデル3は高価格オプション設定車(50,000ドル以上)のみで低価格車の生産ができない。これでは35,000ドルからという量産車のカテゴリにはならない。
6月末の週当たり5,000台のノルマが重くのしかかるテスラ車は、その見通しが立たない中で、ライバル(ニコラモータース)が存在するトラック分野に進出した。しかしモデル3の生産目標(週当たり5,000台)ではバックオーダーを解消するには不足なのは誰の目にも明らかである。マスクCEOは目標達成しても不足する生産能力を補うために工場を中国に展開するとしている。6月の生産目標達成がテスラ社の将来を決める試金石となる。