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欧州に流入した中東からの難民は2015年をピークに減少しているなか、アフリカからの経済的難民が増加している。2013~2016年の間にアフリカ全土から約50万人の難民が主に経済的逃避を理由に欧州に流入した。2018年は前年度よりアフリカからの難民は増加、欧州を目指す第二の難民の波に多くの欧州諸国は警戒している。
アフリカ全土からリビアに集まる難民
リビアには現在、アフリカ諸国、特にエチオピア、エリトリア、スーダン、ソマリア、西アフリカからの難民が欧州を目指して100万人以上が待機していると報告されている。人身売買組織、難民輸送業者がアフリカ全土から集められた密航者(不法移民)を地中海に面しているリビア海岸沿いの都市に連れてくる。
欧州に渡ってお金が稼げる、寛大な福祉支援を受けられると期待する密航者たちはお金を出して漁船や小型船でリビアを出港する。難民救済を行うNGO船が活動している捜索救済区域まで運ばれ、そこから難民はNGO船に乗り変え、イタリアやギリシャにある難民申請施設がある港に入港、欧州入りしているのが実態である。
アフリカからの難民は毎年、海水温度が高くなる春以降から増加する。2016年6月までには6.4万人、2017年6月には7.3万人と増加している。警戒するイタリアはアフリカからの難民がリビア経友でイタリアに大量に流入しないよう、サルヴェーニ内相は6月末にリビア政府とリビアにおける難民申請施設の設置やリビア当局による密航者の取締りの強化を求めた。
新たなルートによる難民の波
欧州対外国境管理協力機関(FRONTEX)は、新たな難民の波に警戒を発している。イタリア経由の難民流入の取締りが強化されるなか、新たな「バルカン半島」経由のルートで欧州入りが始まっている。ギリシャからモンテネグロ、アルバニア、クロアチア、ボズニア、ヘルツェゴビナと年内には約6万人が欧州入りすると思われる。2016年から中東からの難民上陸者数は激減したが、難民問題が解決に向かっているわけではない。より深刻なアフリカからの難民の脅威に置き換わっただけである。
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