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癌治療に免疫療法が加わり従来の標準治療は過去のものとなる日が近い。それでも癌細胞の直接的イメージングは治療の指針を得るために不可欠であることは変わらない。どのような治療法を採用するにしても標的である癌細胞の挙動を詳細に把握することが要求されるからである。マドリッド大学の研究チームはこれまで個別に使われてきた磁気共鳴画像法(MRI)、コンピュータ断層撮影法(CT)、蛍光光学画像法(OI)の3つの異なるタイプのバイオイメージングをこれらの手法を同時に使用して腫瘍を位置決めするハイブリッドナノプラットフォームを開発した(Sanches et al., Appl. Mater. & Interfaces 10, 31032, 2018)。
この研究によって開発されたハイブリッドバイオイメージングでは単一の造影剤を用いた1回のセッションでより正確で特異な結果が得られ、より高い空間分解能、感度および組織への透過能力を有することが示された。このナノプラットフォームは、複合分子イメージング(注1)を可能にし、独立して使われた場合の本質的な限界を克服しながら、その利点を最大限に引き出すように設計されている。
(注1)MRIを基盤に、PET(CT)や生体光イメージング等を必要に応じて組み合わせるハイブリッドイメージングをマルチモーダル分子イメージングと呼ぶ。
マウスで試験されたこのハイブリッドバイオイメージングは、肉腫などの固形癌を標的としているが、柔軟性が高くナノプラットフォームは標的に最適に修正可能であり、多くのタイプの癌への検出を拡大することが可能になる。
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特別に開発されたナノ粒子は、MRIの造影剤として働くシリカマトリックスに埋め込まれた酸化鉄とCTのための金の2つの顔を持つヤヌスナノ粒子である。さらに特異的に配置された分子プローブは、蛍光光学撮像(OI)を可能にし、腫瘍中の過剰発現受容体(RGD配列)に選択的であり、酸化鉄ナノ粒子を包囲するシリカ表面上に位置するペプチドは腫瘍を同定し、ナノプラットフォームを標的に輸送する。
研究チームはナノ粒子を合成し、右脚に線維肉腫を提示するために飼育したマウスモデルで評価実験を行った結果、優れたイメージング結果が得られた。この手法がヒトに適用されるにはさらに研究開発が必要だが、ナノテクノロジーとバイオテクノロジーの融合によって標的となる癌細胞の直接観察の高度化で癌治療がこれまで以上に効率的に行えると期待されている。