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EUは風力、太陽光、その他の再生可能エネルギー源からのエネルギー(消費)比率の目標を引き上げることで合意し、前回の27%ではなく2030年までに32%を目標とした。
EUの気候・エネルギー担当委員は、32%という新しいヨーロッパの目標に満足すべきであり、パリ協定の目標を達成するのに役立ち、雇用を創出し、投資家に確実性を与え、エネルギー料金やエネルギーの輸入を減らすと考えている。
2015年12月のパリの気候変動対策の下で、EUは1990年レベルと比較して2030年までに温室効果ガス排出量を40%削減すると約束し、エネルギー消費の27%を再生可能エネルギーとしている。
欧州議会とEU加盟国は引き続き最終承認を得なければならないが、輸送用燃料の少なくとも14%は2030年までに再生可能エネルギーから供給されることになった。また第一世代のバイオ燃料は2020年レベルに制限されなければならず、道路や鉄道輸送の最終消費量の7%を超えてはならない。
EU担当者は、先進バイオ燃料とバイオガスの比率は、2025年に少なくとも1%、2030年には少なくとも3.5%でなければならないとした。また、森林破壊の原因とされているパーム油は段階的に廃止が予定されている。
環境保護団体はそれでも再生可能エネルギーの目標の32%は低すぎるとしている。EU(欧州議会)が再生可能エネルギー比率で世界を先導する動きは、国連が推進する気候変動対策(地球温暖化対策)に呼応するかのようである。実質的に国連の手足となる欧州だが、ドイツは太陽光導入政策で失敗し、欧州全体の再生可能エネルギー投資も冷え込んでいる。またフランス、英国は最新の原子炉(欧州型加圧水炉、EPR)の新規建設が遅々として進まない。
CO2排出規制につながる再生可能エネルギーも原子力にも、期待の期待を持つことはできない。国連と表裏一体で温暖化対策を遂行する欧州議会と化石燃料に頼る一部EU加盟国との溝が深まっている。国ごとに事情が大きく異なるエネルギー比率を規制は困難な道のりだ。