スエーデンが接触式EV給電道路を実証試験

16.04.2018

Photo: youtube

 

究極的な充電ステーション不要のEVといえば、遊園地にあるゴーカートだが、現実に道路から電力をEVに供給する計画eRoadArlandaがスエーデンで進行中である。2050年までにカーボンニュートラル化を徹底するというスエーデン政府が実証試験をかねてストックホルム近郊の一部(2km)に電力供給レールを敷設する。

 

スウェーデン政府は化石燃料を使用しないゼロエミッションのEV専用道路の開発を目的としたeRoadArlandaプロジェクトに資金を投入してきた。この取り組みは単純なEV専用道路ではなく、新しい概念の「スロットカーシステム」と呼ばれるもの。

 

スロット・カーは、道路に埋め込まれた軌道上を走る車で、軌道内のスロットに金属で電力を供給する、ゴーカートのようなものである。スウェーデンのプロジェクトでは、金属アームからの接触式給電で、車載バッテリに電力を供給する。

 

試験的にストックホルム近郊のローザーズベルク物流拠点とアーランダ貨物ターミナルの間の2km区間に電力レールを設置した。一般車両は道路をそのまま利用することができる。試験用トラックが電力供給レールを利用することになる。

 

敷設コストは約100万ユーロ/ kmで、トラムより50倍も低いと主張する。安全のため電力供給は、自動車が動いている間のみとなる。また悪天候の間、電力供給が保証され、車両がどの程度の電力を使用しているかを測定し、所有者に課金される。

 

 

Credit: twitter.com

 

この方式は非接触式に比べて敷設コストが低く、電力損失でもメリットがあるが、それでもスマート化のセンサーや制御システムのインフラ整備で実用的な区間に適用すれば、コスト負担は使用者への課金だけではすまない。

 

いっそ高速道路に太陽光パネルを設置してPA、SAに充電ステーションを置く方が賢いとも思える。しかし重要なことはゼロエミッション化に積極的に取り組むことで、国の環境保護のイメージアップにつながることは確かだ。イーロン・マスクはロサンゼルスの渋滞緩和にトンネル中をスロットで車を運ぶシステムを提案しており、トラックサイズのゴーカートであるeRoadArlandaは案外現実的なのかもしれない。

 

しかし現実的には金属レールの腐食などメンテ上の課題も多い。レール表面が劣化して接触不良などで車が停止したら通常の車を含めて道路が閉鎖されるだろう。また高速走行や他の車を追い越すこともできない。ひたすら一定速度で走行するしかないがロジステイックでは定時運行が達成されるメリットは大きい。苦労もコスト負担も多いがそれを上回る排気ガス規制の圧力が働いているということだろう。