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この原稿を筆者は国外のオフイスで書いている。デスクにはノートPC、スマホ2台、ワイアレスマウスとそれぞれのチャージャーがあって重宝しているが、何かのバッテリーを絶えず充電し続けている。たしかにスマホ、ノートPC、その他のバッテリ駆動の電子機器のバッテリーの寿命が短すぎるし、場合によってはデバイスが発熱することもある。バッテリーの長寿命かも必要かもしれないが携帯機器なら省電力化の方が便利だ。
シリコンやゲルマニウムで作られていることが多い半導体ダイオードと増幅器は、現代の電子機器の重要な構成部品である。ダイオードは通常、一定のバイアス方向に沿って電流が流れ、電圧が逆転すると電流は停止する。このスイッチングプロセスが、消費電力を消耗し、バッテリ寿命に影響している。ミズーリ大学の研究グループは、これらの問題を解決できる可能性のあるデバイス材料としてハニカム構造の磁性材料を開発した(Summers et al., Advanced Electronic Mat. Online Mar. 13, 2018)。
磁性半導体で置き換えることで、機能を損なわずに消費電力を大幅に削減し、エネルギー効率の高いデバイスを作り出すことができる。研究チームは、シリコン表面のハニカム構造テンプレート上に磁性合金またはパーマロイを堆積させて作成された2次元のナノ構造材料を開発した。
新しい材料(下図)は一方向に電流が流れるダイオード特性を持つが、半導体ダイオードと比較して、消費電力が大幅に少なくなっている。磁気ダイオードは、省電力の磁気トランジスタおよび増幅器への一歩であり、これらを使った電子回路の消費電力は飛躍的に低くなるため、バッテリーの寿命を100倍以上延ばすことができる可能性がある。
Credit: Advanced Electronic Mat.
製品を開発するためにはさらに開発を継続する必要があるが、通常5時間の充電で500時間以上の充電と等価になれば、チャージャーを持ち歩く必要がなくなる。このデバイスは、カメラや無線機器などのオン/オフスイッチとしても機能し、デバイスを流れる電力を削減すると期待されている。