光格子緩和で効率が増大するペロブスカイト太陽電池

06.04.2018

Photo: greenomicsworld

 

これまでの太陽電池材料のほとんどは太陽光照射下でエネルギー変換効率が劣化する経年変化の問題を抱えていた。これに対してエネルギー変換効率でシリコンに迫る勢いのペロブスカイト材料では、逆に太陽光照射で逆に効率が向上する。ロスアラモス国立研究所の研究チームは長時間照射によって、格子緩和が生じるため格子歪が取り除かれ、エネルギー変換効率を増大させることを見出した(Tsai et al., Science 360, 6384, 2018)。

 

光格子緩和によって結晶の格子欠陥密度が低下するため、キャリアを捕獲するトラップ密度が低下して効率に影響を与える。この光格子緩和効果は100mW/cm2の照射条件で、長期(1,500hrs)に持続される。ペロブスカイト材料の特徴は直接遷移型のバンドギャップ構造で光吸収係数が大きく、例えばGaAsの吸収スペクトルの全ての波長でより吸収係数が大きい。このため300nm厚の薄膜材料で、太陽光のスペクトルの吸収が可能である。

 

ペロブスカイト太陽電池の普及の鍵となるのは太陽光照射下での安定性となるが、研究チームの開発した3カチオン型ペロブスカイト材料は100C以上での安定性も高い。下図に示すように光緩和で格子定数が増大し、エネルギー変換効率が18.5%から20.5%に増大する。

 

 

Credit: Science

 

研究チームによればこのペロブスカイト材料はシングルセルのエネルギー変換効率の理論上限の7%以内に到達している。薄膜太陽電池はパネルの軽量化に不可欠で、個人ベースのパネル設置が容易になれば、普及が加速すると期待されている。

 

 

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