単原子触媒設計の一般則

15.05.2018

Credit: Nature Catlysts

 

電気化学反応のための高活性単一原子触媒の開発は、水素製造を基盤とする将来の再生可能エネルギー技術の鍵である。ネブラスカ大学と中国の国際研究チームは、研究チームは酸素還元、酸素発生および水素発生反応に対するグラフェンベースの単原子触媒の活性を評価する非経験的デザインルールを提案した(Xu et al. Nature Catalysts 1, 339, 2018)。

 

一般的に単一原子触媒の触媒活性は、利用可能な実験データによって明らかになった金属中心の局所的環境(下図)、すなわちその配位数および電気陰性度および最も近い隣接原子の電気陰性度と高い相関があることが知られている。

 

Credit: Nature Catalysts

 

研究チームの提案する新原理は金属中心の局所的環境を簡単な方程式で予測するもので、特定の活性中心を有する高活性非貴金属単原子触媒、例えば酸素還元反応のためのFe-ピリジン/ピロール-N4を設計する戦略に有効であることがわかった。さらに、酸素発生反応のためのCo-pyrrole-N4; Pt / Ir / Ru系貴金属触媒に代わる水素発生反応のためのMn-pyrrole-N4が利用でき、環状金属錯体をグラフェン系単原子触媒の代替として使用できることも明らかになった。

 

今日まで、単原子触媒設計は試行錯誤に頼る経験的な開発によるものだったが、提案された手法では電気化学反応の変数を単純な方程式で表現し、原子とその周囲の物質の組み合わせが触媒性能にどのように影響するかを予測することができる。金属中心の局所的環境の蓄積データの多くは放射光実験によるもので高輝度X線光源の進展で急速に知見が増えている。

 

 

研究チームは実際に物性データを方程式に入力して、貴金属触媒(プラチナ、金、イリジウム)のコストをおよそ1000分の1になる別の原子と分子骨格の組み合わせを見つけることができると期待されている。

 

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