Credit: Drexel University
既存のスーパーキャパシタ薄膜技術の問題点は、材料層の厚さが実用的な約100ミクロンになると、材料がその電力貯蔵機能を失うことである。ドレクセル大学の研究チームは、2D材料を操作して、スーパーキャパシタ電極の特性を有し、実用的に使用可能な厚さのフィルムに成形できる新しい技術を開発した。
ドレクセル大学の研究チームは、同大学が2011年に発見したエネルギー貯蔵機能を持つMXeneシートの自己集合現象に注目した。機能性2Dナノマテリアルの電極膜は、迅速なイオン輸送と市販の炭素電極と同等以上の電荷蓄積性能を持つことを明らかにした(Xia et al., Nature 557, 409, 2018)。
エネルギー密度とパワー密度は、材料がより大きなサイズにスケールアップされるとき、イオン移動のチャネルに依存する。バテリー、スーパーキャパシタなどのエネルギー貯蔵装デバイスのイオン拡散の問題はこれまで材料開発のボトルネックであった。従来は、2D材料は薄膜が積み重なるとイオン拡散長が長くなり、電極の厚さが工業規格(約100ミクロン)に近づくと性能が低下してしまう。
研究チームは、MXeneフレークを電極に垂直に立てることによって、イオンの拡散を抑制することで問題を解決した。液晶分子を垂直方向に整列させて、基板を動かすことで配向も調整できる。この方法で調製されたMXene電極は、少なくとも200ミクロンまでの厚さにほぼ依存しないキャパシタンスを持つことがわかった。
物質の分子の自己集合技術は、1970年代から研究されており、テレビ、電話、ノートPCのディスプレイに広く応用されている。トップダウンプロセスを使用して材料の垂直方向の配向を制御することができるが、スケールアップが困難であった。
研究チームはそこで自己組織化を利用する方法を開発した。このプロセスでは2D材料で行うために、界面活性剤でMXene層を挟んで液晶を形成する。そのあと垂直にMXeneフィルムを整列させることで、MXeneの特性のイオンの移動や拡散が可能になった。将来は、モバイル電子デバイス、EV、および再生可能エネルギー収穫技術への電力供給のためにスーパーキャパシタおよびバッテリ電極にこの方法を適用することができると期待されている。
Credit: Drexel University