天然ガスに30%水素添加で減らせるCO2排出

11.06.2018

Photo: funkidslive

 

スワンシー大学の研究チームの調査によると、英国の家庭や企業に供給する天然ガスのほぼ3分の1は、ゼロエミッションの水素で置き換えることができて、これで英国のCO2排出を最大18%削減できる可能性があるとしている(Jones et al., Sustainable Energy & Fuels, online issue 4, 2018

 

調理、暖房および発電に使用される天然ガス使用は英国の排出量の9%を占める。CO2排出量を削減する様々な取り組みが研究開発されているが、天然ガスに水素を添加することもその一つである。

 

研究チームの実験で、既存のガス器具は、水素添加天然ガスを燃料として、安全に使用できることが立証された。これはすでにドイツとオランダの一部で実用化されており、今年は英国でも政府支援が行われている。

 

現在の英国の法律では許容される水素割合が0.1%に制限されている。研究チームによれば、水素添加による燃焼不安定現象を考慮に入れて、約30%の濃縮が可能とされている。

水素の相対的に低いエネルギー、低密度、および高い燃焼速度のため、これより高い割合は、家庭用ガス器具に不適である。それでも水素30%の添加で、国内のCO2排出量が最大18%の削減できる。

 

CO2排出規制の様々な取り組みは開発段階が異なるばかりでなく、大規模なインフラ改造を必要としてするものまで千差万別である。そのため、できるものから始めていかなければならないが、30%水素添加は僅かな出資で、18%CO2削減に要する厖大な出費に変えることができる魅力的な方法である。

 

国内には原子力に期待する考え方もいまだに根強いが、実際問題、先進国では原子炉建設が頓挫し解決される見通しがない。水素添加の取組は今すぐにできることであり、将来の純粋な水素燃料での、ゼロエミッションネットワークに向けての貴重な足がかりとなる。18%以上の削減を社会が望むならば水素社会は意外と早く訪れるかも知れない。それは化石燃料が枯渇するかなり前となるだろう。