燃料電池用の非白金系単原子触媒

31.08.2018

Photo: Washington State University

 

ワシントン州立大学の研究チームは、燃料電池用に低コストの単原子触媒を開発する指針を確立した。これは単原子触媒の効率的な開発を可能にし、クリーンエネルギー技術をより経済的に推進できると期待される(Zhu et al., Advanced Energy Mat. online Aug 28, 2018)。

 

水素燃料電池は、化石燃料を燃焼させる内燃機関エンジンよりも発電効率が2倍以上高いので、クリーンエネルギーの経済性に重要な要素である。しかし燃料電池の化学反応に使用される白金系触媒は高価で、その商業化を著しく阻害している。

 

燃料電池の商業化には、高い活性と安定性を備えた低コストの触媒が不可欠である。貴重なプラチナの代わりに、研究チームは鉄やコバルトなどの貴重な金属の代替え金属の使用を目指している。しかし、これらの豊富に入手可能な金属との反応は、短時間のうちに機能しなくなる被毒の問題がある。

 

研究者チームは貴金属を使用する実験室環境で同等に機能する単原子触媒を開発した。単原子触媒を作る高温プロセスで、鉄またはコバルト塩とグルコサミンを前駆物質として使用した。このプロセスは、触媒のコストを大幅に下げることができ、製造のために容易にスケールアップすることができる。

 

 

Credit: Advanced Energy Mat.

 

研究チームの開発した鉄―炭素触媒は、市販の白金触媒よりも良好な活性を維持し、被毒されない特性を持っている。このため大規模な触媒生産が可能になると期待されている。