Credit: Nature Chemistry
光合成では太陽エネルギーが植物の葉に当たると、それは葉緑素中の電子を励起し、励起された電子は最終的にCO2と水をグルコースに変換する。この化学反応では多電子反応が鍵となる。イリノイ大学の研究チームは、1電子反応よりもエネルギー効率が悪いとされボトルネックとなっていた2電子化学反応を促進する触媒を開発した。
研究チームは、光エネルギーを化学エネルギーに変換するのに、植物色素に頼るのではなく、特定波長の光で光励起された電子とプロトンをそのまま移動させる金触媒に注目し、13~14nmの金ナノ粒子を使用して2電子反応を促進させてエタンを製造することに成功した(KIm et al., Nature Chemistry online May 07, 2018)。金ナノ粒子をポリマーでコーティングし、水中に懸濁させると、ナノ粒子は緑色の光を吸収し、濃い赤色を反射する。
光励起下では、ナノ粒子は電子をセンサー分子に移動させると色が変わり電子伝達反応がいかに効率的に行われているかを測定すできる。これまではセンサー分子で単電子反応の最適化に利用してきたが、新しい研究では、金属ナノ粒子触媒が2電子を移動させる条件出しに応用した。
実験で使用されたレーザー光で金ナノ粒子が、2電子反応が1電子反応よりはるかに効率良く反応促進させることを見出した。フリーラジカルは非常に反応性が高く、エネルギーを無駄にしていた。実験では、CO2をエタンに変換し今後お、プロパンやブタンを生成する計画である。
炭素原子をつなぎ合わせるため一度に2つ以上の電子を移動させ、ナノ粒子触媒の表面で一度に複数の二酸化炭素分子を活性化することで、より高次の炭化水素を製造することができると期待されている。
Credit: Nature Chemistry