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かつては遺伝子編集技術が成熟していないとして、規制の必要性を認めてきた米国の保健当局は、現在では特別なリスクを伴わない新しい治療法になっているとして、遺伝子治療実験の特別な規制を排除する。米国国立衛生研究所の特別監視委員会は、遺伝子治療の全適用を見直さず、水曜日に提案された変更に応じて、より広範な項目の諮問機関となることで実質的に規制が弱まる。
米国食品医薬品局(FDA)は、他の治療法や薬物と同様に遺伝子治療実験や製品の検査を行う予定である。
遺伝子治療は、遺伝的欠陥に起因する症状の治療ではなく、DNAの削除、追加、または変更、生命の設計図の変更によって、問題の根本原因をなくすことを目指している。潜在能力は大きいもののこれまでに承認された治療法が数える程しかない遺伝子治療はまだリスクが何であるかを知った上での治療にはまだ適切な時期ではない。下図はヒト遺伝子編集の規制現状。
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遺伝子治療が提案されたとき、患者に対する実験および潜在的なリスクを評価するためにNIHは科学者の委員会(RAC)を組織した。非常に多くの安全性の危惧と科学的内容が理解できていないためであったが、このリスクは、遺伝子実験で10代の死亡が起きた1999年に現実となった。
それ以来、多くのことが安全性について学ばれており、昨年、FDAは、癌と遺伝性の失明症のために、国内初の遺伝子治療法を承認した。700件以上の遺伝子治療の提案が現在保留中であり、遺伝子治療が多くの病気の治療の主流になるのは時間の問題とみられる。
しかし規制緩和と言っても度を越したものではなく、複数の機関による遺伝子治療の臨床試験の検証が考えられている。しかし、RACは、遺伝子治療は生物学的に複雑な治療法であり、多くの場合、「実際にどのように機能するかはわからない」としている。 遺伝子治療には奇跡的な回復をもたらすものがある一方で、失敗すなわち治療効果がないもあるのが現状だ。
そのため世代を通って伝わる永続的な変化を起こす胚、卵子または精子への適用は現在禁止されている。そのため慎重な医師たちはFDAが規則緩和を検討し始めるなら、レビュー機関の強化が必要だとしている。