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ストワース研究所の研究チームはヒト臍帯血(HUCB)から血液形成を形成する幹細胞で増殖する技術を見出した。この開発は、より多くの人々にこれらの細胞を利用できるようにすることができ、白血病、血液疾患、免疫系疾患、および癌のような患者や適切な骨髄適合がない人でも幹細胞治療への道が開かれた。
救命骨髄移植は、数十年にわたって一般的に行われている治療法であるが、これは誰にでも適用できる治療法ではなかった。米国保健社会福祉省によると、患者のわずか30%しか家族のなかに利用可能な骨髄ドナーを持っていない。米国では17万人以上が、血液癌(白血病、リンパ腫と骨髄腫)の患者である。
臍帯から得られるヒト成体幹細胞は、骨髄移植のための互換性要件が少ないため、より多くの人々のために適用できる可能性が高い。しかし、成人患者は治療に際して血液の2本の臍帯を必要とし、十分な臍帯が用意できない。新たに開発された幹細胞治療法で必要な臍帯数を減らせる。
研究では、研究チームは複数のターゲットと造血幹細胞の自己複製に関与する経路に関係する蛋白質に焦点を当てた。Ythdf2と呼ばれる蛋白質が、造血幹細胞の自己再生のために重要な転写因子を解読するmRNAの変化を認識し、mRNAを再生する(下図)。
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チームは、マウスモデルでhUCB細胞中のYthdf2機能停止により造血幹細胞の増大が観察された。またYthdf2機能が損なわれても血液細胞悪性腫瘍は増えなかった。研究チームはこの手法が、患者を治療するための成体幹細胞の量を増やすことにつながると期待している。