米短期金融市場での流動性問題が深刻化

24.10.2019

 

 米連邦準備理事会(FRB)は、本日10月24日から短期金融市場における翌日物レポ取引で毎日1200億ドルに加え450億ドルの一定期間(14日間)のタームレポ(10月24日と29日)の資金供給を実施することを、23日に突然発表した。レポ市場の混乱は収まるどころか、市場への資金供給は大幅に拡大、より大規模な市場調節に発展している。

 ニューヨーク連銀は22日、短期金利の上昇を抑えるために、レポ市場に649億ドルの翌日物と350億ドルのタームレポ、合計999億ドルの資金を供給し、毎月600億ドルの米国債買い入れプログラムの一環として75億ドルの米国債を購入した。

 9月16日に短期金利市場でレポ金利が急上昇、市場混乱が起きた。年度末や月末にかけての決算対応や大規模な米国債入札の決済と法人税の納付などで、一時的にレポ市場で資金枯渇が起きたとして、FRBは臨時の資金供給を行ったとされている。

 その後も流動性の問題は解決されず、10月10日まで毎日750億ドルの翌日レポと300億ドルの3回のタームレポの資金供給を実施した。だが期限は11月まで延期され、資金供給は毎日実施されるだけでなく、毎月600億ドルの「QEではない」米国債買い入れが追加実施されている。明らかに、当初の説明とは違う理由で流動性の問題が続いている。

 短期金融市場での資金需要供給は安定せず、FRBは急遽23日に翌日レポ取引を毎日1,200億ドル、タームレポを450億ドルに引き上げることを決定した。当初600億ドルで始まった翌日レポは今ではその2倍の1,200億ドル、タームレポも300億ドルから450億ドルに拡大している。当初臨時対応で始まった資金供給は常設レポ・ファシリティの役割を持つようになった。「QEではない」、「金融政策ではない」米国債買い入れは再開され、FRBのバランスシートは拡大をみせている。

 では、短期金融市場で何が起きているのか?

 FRBの短期金融市場での対応は明らかであるが、その対応を必要とする状況が何であるかは公表されていない。1カ月内にFRBが行った政策転換と緊急性を要する対応を見ると、毎日約1000億ドルの資金供給が必要な金融システムはけして安定とは言えず、金融システムにおける問題が深刻化していることは明白である。

 フォード・モーター社創業者であるヘンリー・フォードの名言に、「国民が銀行制度や貨幣制度を理解していないことは良いことである。もし国民がそれを理解したら、明日夜が明ける前に革命が起きるだろう」がある。次回のFRB会合後に、FRBの資金供給を必要とする状況について明らかにされるか注目される。

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