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カタロニアはスペイン北東部にありスペインの自治州で州都はバルセロナ。独自の言語(カタロニア語)を持つなど歴史的に住民たちの独立性が強い。人口は750万人だがGDPはポルトガルを上回る。もともと自治の意識が高かったが2008年の金融危機で州財政が悪化すると、住民たちに独立を求める動きが活発化した。
独立国家を求めるカタロニア
スペイン政府はカタロニアの独立を求める国民投票を何としても阻止する構えだったが、州政府はついに2017年10月に実施が決まったことを発表し、スペイン政府との政治的、法的な抗争でスペイン内政の混迷が深まる。
カタロニア州知事のプデモント氏は州民投票で問われるのは「カタロニア州が共和国として独立するか否か」であるとし、富裕な北部州は政治的、経済的、文化的に独立国家として主権を持つことを自分たちが決める資格があると主張している。
法的拘束力を主張するスペイン政府
一方、スペイン政府はカタロニア独立が健保違反にあたるとして徹底抗戦の構えを譲らない。カタロニア州政府はスペイン政府に独立問題に関して提案を行ってきたがいずれも政府が拒否したために、州民投票に踏切らざるを得なかったとしている。
スペイン政府は10月に予定されている投票もあらゆる手段で阻止するとしている。3年前の投票では230万人の有権者の80%が独立に賛成している。しかし州政府は今回の投票での結果が法的効力すなわち国家独立を有すると考えている。スペイン憲法裁判所は2014年11月の投票の5日前に、投票が法的に無効とした判断を下したが、州政府は投票を強行した。2017年3月にこの投票が健保違反であるとした判決が下されている。
予測困難な投票結果
今回はこの法的根拠でスペイン政府は投票阻止を合法的に行うことができる。投票予想は独立派が45.3%で反対派46.8%に接戦となる。
ブレクジット同様に結果を予想することは困難だが、地域住民が国家よりも自治権を優先する世界的な流れの中でカタロニア独立問題は影響力が大きい。金融危機でベイルインをEUから突きつけられるリスクを避け、自治権を求めて国家からの独立(EU脱退)を目指す地域運動が加速している。