トランプ政権の試練となる債務上限引き上げ問題

24.04.2017

Photo: washingtonmonthly

 

 イースター休暇を終え、4月24日から再開する米議会は、債務上限枠の引き上げ問題を解決しなければならない。4月28日までに暫定予算が決まらなければ、29日から一部の政府機関は閉鎖に追い込まれるからである。偶然にも、28日はトランプ政権が発足して100日目、蜜月期間の終了にあたる。

 

予算案をめぐる攻防

 メキシコとの国境の壁建設費用、不法移民の逮捕や強制送還費用、防衛費の増加、大型インフラ投資、医療保険制度改革(オバマケア)におけるコスト補助などを巡って、この4日間は与党の共和党と民主党との間で暫定予算案の成立に向けての駆け引きが激しくなる。民主党はトランプ政権の移民政策、とりわけ国境の壁建設に反対である。メキシコとの国境の壁建設の費用や家族計画連盟への補助金の停止が法案に組み込まれた場合、暫定予算案の成立に民主党は反対すると宣言している。

 

 暫定予算案が成立しなければ、トランプ政権は難しい立場に置かれる。政府機関の閉鎖が長引けば、野党の民主党だけでなく、与党の共和党からも批判が上がり、政権運営が難しい状況、レーム・ダック政権となる可能性さえある。

 

 暫定予算案が成立しても、3月に期限を迎えた債務上限枠の引き上げ問題が残る。財務省による臨時の財務措置を続けるのは8~9月までが限界で、国債発行枠を引き上げない限り、米国は債務不履行となる。トランプ大統領にとって、大型減税、大型インフラ投資と防衛費の増加などの政策実行には、債務上限の引き上げが不可欠である。

 

 

支持基盤の弱さが露呈

 この問題を複雑にしているのが、与党共和党内でトランプ大統領への完全な支持がないことである。債務上限の引き上げを巡っては、与党の共和党からも強い反対批判があり、これまで以上に例年の危機を乗り切るのが難しい状況にある。政権が与党に支えられない「ねじれ」によってメイ首相は議会の解散を余儀無くされた。トランプ政権は就任後初の国内統治力が試される厳しい4月末を迎える。