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米ドルの金本位制が廃止されて43年。米国が保有する金は世界最多の8,133トンで、金塊が保管されているのがケンタッキ州のフォート・ノックス陸軍基地内とウエストポイントにある財務省管理の金塊保管庫とニューヨーク連銀地下金庫の3カ所である。そのフォート・ノックスを21日に現財務長官のスティーヴン・マヌーチン氏が突然訪れた。
70年ぶりにフォートノックスを訪れた財務長官
金塊の外部公開も金本位制が廃止されてから一度もなく、財務長官が訪れるのは70年ぶり、43年ぶりの公開となった。外部からの監査も1953年から実施されていなく、監査は一切拒否されてきた。そのためか、実際には金はなく、あるとされる金塊はタングステンに金メッキを施した偽物であるとする懸念の声が高まっていた。
フォート・ノックスに保管されている2,000億ドル相当の金塊は、『安全である』とツイートを発したマヌーチン氏だが、前回の1974年の大々的な議員団公開の時と比べ、突発的で報道取材はほとんどなく、視察は短時間に終わっている。金塊保管庫の全13室のうち1室だけが公開されているため、金塊がないとする懸念を払拭するものではなく、逆に懸念が深まるものであった。
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金保有を拡大する中国とロシア
今回のマヌーチン氏の「米国の金は安全である」の発言の背景には、世界各国の金保有を拡大している動きがある。ロシアは過去6年間で金の保有を1,000トン以上増やしている。中国は8年間で金を4,000トン輸入しており、自国での生産と政府が正式に保有している金を含めると米国に続き世界第2位の金保有国となる。
ドイツが国外に預けた金を回収
ドイツ政府は2012年に保有している3,400トンの金のうち海外に預けている金地金674トンを自国に保管することを決め、回収に動いた。しかし、ニューヨーク連銀は預けている300トンの返還は7年間かけてしか応じないとしていた。2020年までは回収できないとされていた金地金を実に予定より3年早く、22日にドイツ政府はニューヨーク連銀とフランス銀行から全てのドイツが保有する金地金を回収したことを発表した。
金保有拡大を目指す国が増えている中で、フォート・ノックスに果たして金が保管されているのかについて疑惑は広がるばかりである。
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