メルセデス・ベンツが300万台リコール〜 デイーゼルゲート第2章

19.07.2017

Photo: timesofindia

 

VW社の排ガス規制不正に端を発するデイーゼルゲートはメルセデス・ベンツ社の不正に焦点が移り、排ガス不正で調査中にある同社は7月18日に欧州の300万台以上のデイーゼル車を対象としたリコールを発表した。

 

他車種に対して改良作業を実施している同社は同様の処置を他車種300万台に拡張することを決定した。シュツットガルトに本社を置くメルセデス・ベンツ社の損失は2.2億ユーロ(約2,900億円)となる。

 

同社はこのリコールで欧州の都市部のNOx排出量(注1)低減に寄与できるとしている。1週間前にドイツ国内メデイアは同社が2008年から2016年までの期間、100万台に上る規制値を満足しないデイーゼルエンジン(車)を欧州と米国で販売し、排気ガス不正を行っていたことを報道していた。

 

(注1)デイーゼルエンジンの排気ガス中に含まれる有害成分はNOxと微粒子がある。デイーゼルエンジンの排気ガス処理の課題は高温燃焼で生成するNOxと燃焼を抑えた時に生成する微粒子の相反する条件にある。つまり燃費を稼ぐために燃焼を抑えるとNOxを抑えられても、微粒子が増える。世界中のデイーゼルエンジンメーカーはこの矛盾する技術課題に苦しんできたが、厳しくなる 一方の排ガス規制に適合できず不正を行った。

 

具体的な不正の手口としては2015年にVW社が認めた不正デバイス(注2)による疑いが持たれている。しかしメルセデス・ベンツ社は基準を満足する新型デイーゼルエンジンOM 654(注3)の販売を発表し、今後もデイーゼルエンジン車種販売の継続を目論む一方でEVの車種を拡大している。

 

(注2)ECU(エンジン制御システム)のソフトウエアに試験時にのみ高回転数にしてNOx量を減らすソフトウエア。

 

(注3)新型E-クラスに搭載される4気筒デイーゼルエンジンで、従来よりシリンダーのコーテイングで内部摩擦を25%減らすことにより13%高い燃費を達成したとされる。OM 654エンジンは今後、幅広い車種に搭載される。排気ガスを吸気に再利用する方式の燃焼効率増大で低燃費とNOx濃度低減が達成するとしている。

 

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