下落トレンドが続く米ドル

19.09.2017

Photo: financialmarketswizard

 

 米ドル指数先物(ドルインデックス)(注1)は19日に一時91.77をつけた。1月に今年の最高値103.82をつけたが、8月には今年の最低値の90.99をつけ、12.36% 下落した。米ドルは1985年以降、下落トレンドを続けている。これまでこの下落トレンドを覆すことができず、米ドルは下落を続けてきた。今後2008年のリーマン・ショック後につけた70レベルまで下がっていくかが大きな注目点である。

 

 (注1)ドル指数は、主要通貨(ユーロ、円、ポンド、カナダドル、スウェーデンクローネ、スイスフラン)に対する米ドルの価値を指数化したもので、ドルの国際的な価値を示している。

 

 過去40年間の米ドル指数を見ると、1985年の最高値128から米ドルは下落トレンドにある。一時的にドルが回復しても、維持できずその度、落ち込む前より低い高値をつけている。

 

 

Source: StockCharts.com

 

 米ドル指数が今後短期的には小幅に上昇しても、経済、金融、地政学的な面から米ドルが長期的に大きく上昇し、下落トレンドを覆すほどの要因はない。特に、中国やロシアのドル離れが今後加速、南米ベネズエラのように原油産出国が原油価格の表示と取引を従来の米ドルではなく人民元建に切り替えることで、ペトロドル制度の崩壊は加速している。中東原油国の原油が米ドルから人民元建に切り替えられるのも時間の問題で、ドル下落トレンドがどこまで続くのか不透明な状況にある。