Credit: National Hurricane Cente
カテゴリー3(最大はカテゴリー5)の勢力でカリブ諸国に接近していたハリケーン「イルマ(Irma)」は4日にはカテゴリー4、5日には最大のカテゴリー5に拡大し、今後北上してフロリダ州を直撃する可能性が高くなった。
ハリケーン「ハービー」に続き「イルマ」の2つのカテゴリー4と最大の5規模(最大風速175mph、280km/h以上)のハリケーンが1カ月以内に米本土を直撃するのは初めてのことである。
テキサス州を直撃したハリケーン「ハービー」による被害総額は、テキサス州アボット知事によると1800億ドルに達する可能性があるとしている。2005年にニューオリンズを襲ってハリケーン「カトリーナ」の1250億ドル、2012年のニューヨーク州を直撃したハリケーン「サンディ」の400億ドルと比べても、前例のない被害となった。ヒューストンでは1000年に一度とも言われる規模の洪水で、経済損出はGDPの1%、アメリカ史最大の自然災害となった。
米国立ハリケーン・センターによると、ハリケーン「イルマ」は今後、勢力を強めながらプエルトリコ、ジャマイカ、キューバを通過、10日にはフロリダ州南部を直撃するとの見通しを出している。早くも、米フロリダ州は非常事態宣言を発令、避難勧告、水と食料、災害品を求める人たちで混乱が起きている。
これまで過去3回カテゴリー5のハリケーンが米本土を直撃している。「イルマ」はその中では、最大風速185mph(295kph)で過去2番目に強いハリケーン、大西洋で発生したハリケーンとしては過去最大規模である。大きさは120マイル(192km)で、フロリダ州とほとんど同じ直径を持つ巨大ハリケーンである。
海面水温の上昇で、今後勢力がさらに拡大する恐れがあり、これまでの台風最大強度の理論上の上限を超えるカテゴリー6に分類される可能性が高いと思われる。破壊力は「ハービー」を超え、キーウェストやフロリダ半島から南西に伸びるキーズ諸島の水没、キーウェストからワシントンDCまでの西海岸沿いの地形が変わるほどの被害をもたらす可能性がある。
同じ年にカテゴリー4以上の規模のハリケーンが米本土を直撃するのは100年以上にわたって前例はなく、一カ月以内に連続して発生するの今回が初めてとなる。