メルケル政権の基盤が揺らぐドイツ総選挙

24.09.2017

Photo: cbc.ca

 

 ユーロの行方、ECB金融政策、EUにおける分裂懸念、移民問題、年金問題、人口の高齢化、予定されている大規模増税、地方自治体の破綻危機など、ドイツを取り巻く重要な問題の具体的な議論がないまま、ドイツの連邦議会(下院)総選挙の投票が24日始まる。

 

 メルケル首相の4選がほぼ確実と見られているが、「反移民」を掲げる進興右派政党のドイツのための選択肢(AfD)の支持率は上昇しており、第3党に入る可能性が高い。

 

 最新のInsa世論調査では、メルケル首相を率いるCDU(キリスト教民主同盟)と連立を組む姉妹党CSU(キリスト教社会同盟)の支持率は34%と人気が下降気味である。その他の主要政党、中道左派のSPD(ドイツ社会民主党)は21%、左派党は11%、FDP(自民党)は9%と支持率を落としている。その反面、AfD(ドイツのための選択肢)の支持率は13%と上昇を見せている。

 

 ドイツ国民の間で、メルケル首相の強い支持が報道されているが、これまで一度も40%を超える一般投票を得た事がない。移民政策でメルケル政権に対する不満は高く、支持率が上がることは期待できない。メルケル首相が4選を果たしても、支持は34%かそれ以下となる可能性が高く、現政権に対する不満、不支持はむしろ強いとも言える。

 

 支持率を上げてきたAfD

 AfDはユーロに異議を唱え、ギリシャ経済救済への反発として「反EU」を掲げ2013年AfDが結成された。2015年に、メルケル政権の無制限の移民受け入政策に反対、「反移民」を掲げるようになってから、その支持率は急激に伸び出した。2013年の総選挙では4.7%の支持率しかなかったAfDは、今回13%以上の支持率を獲得する見通しである。初めての連邦選挙で連邦議会(Bundestag)において定数630議席のうち、85議席以上を獲得する可能性が高い。

 

 メルケル政権にとって、第3党、野党最大の政党となれば、選挙後のメルケル政権の政策への影響は避けられない。支持率の低迷を見せているCDU・CSUとSPD。世論調査の支持率で選挙結果を予想しても、2013年より低くい支持となる。AfDがどの程度大きく支持率を伸ばすかが注目されるが、明らかな事は、世論が大きく左派から右派にシフトし始めている。

 

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