米国債を買い支える巨大IT企業の思惑

7.08.2017

Photo: reuters

 

 2016年の11月から米国債の保有国の保有残高が増えている。米国債の売却が加速傾向にあったが、日本、ロシア、中国、サウジアラビアやBRICS諸国などによって再び買われている。米国債の保有の増加は、民間の米国企業の間でも増加傾向にある。特に、注目されるのがアップル社の526億ドル相当(5.8兆円)の保有残高である。

 

アップル社が証券監督官庁(SEC)に提出した最新の第2四半期報告書Form 10-K(日本では有価証券報告書)によると、アップル社は526億ドル相当の米国債を保有している。保有残高は2017年には前年度比で28.3%増加している。 保有している米国債の内訳は、短期国債(2カ月、3カ月、5カ月、7カ月と10年)が38%、長期国債(30年)は60%、1年以内の償還のTB(注1)は2%となっている。

 

(注1)Treasury Bills、償還期間が6カ月または1年の金融機関などの法人等に限って販売された国債をさす。

 

 米国債の保有国の保有残高ランキング(米財務省統計)でみれば、アップル社は23位に入る。アップルの他に、アメリカのIT業界で米国債の保有残高が高いのはグーグル(448億ドル)、フェイスブック(110億ドル)である。アップル、グーグル、フェイスブックの3社を合わせると保有残高は1,084億ドルに上る。

 

 世界最大の米国債保有国は日本で1兆1,113億ドルに続き、中国の1兆1,022億ドル。アップル、グーグル、フェイスブックの3社を合わせた保有額は、インドに続き第13位で14位のロシアより多い。米国政府にとって、特定IT企業は米国最大の債権者であり、多大な政治的影響力を持つ勢力とも言える。

 

Source: US Treasury