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オーストラリアの生物学と計算機科学の共同研究グループはニューラル・ネットワークを使った気候変動に関する新しい研究で、現在の地球の気候変動にCO2の温室効果などの異常はないとする結果を得た(Abbot and Marohasy, GeoResJ 14, 36 (2017))。温室効果による地球温暖化説についてはこれまでも懐疑的な論文が多く発表されていたが、今回の研究でCO2の温室効果は決定的な否定となった。
太陽活動の長期的な変動を除外した正味の平均地球表面温度の上昇が人間活動が排出したCO2の温室効果によるというのが地球温暖化の仮説である。研究グループによれば1世紀前にCO2分子の熱吸収能力が知られるようになってから温室効果は温暖化の根拠とされた仮説がやがて一人歩きするようになると社会が信じて疑わなくなった。
そこで研究グループは過去2,000年にわたる樹木の年輪や珊瑚芯の観測データを降雨予想のために開発していたニューラル・ネットワークのアルゴリズムに入力してパターン解析を行い2,000年間の気温変動を調べた。その結果、気温変動は人間活動によるCO2増加がない時代の観測値と一致することを見出した。これはCO2による地球温暖化仮説は否定されることになる。
また中世(986年~1234年)にも現代と同じ気温の「温暖な」時代があり、人間活動が排出したCO2の増加と温暖な気候に関連がないことを確実なものとしている。今回の結論は人間活動による
CO2排出は気候温暖化の原因ではなく、温暖化は自然な変動によるものということになる。さらに温暖化自身にも問題があり、平均地球表面温度の観測データに任意性があるため、温暖化が誇張される可能性が高い。
この研究結果は自然な気候変動だけで説明できないとするEPAの主張と真っ向から食い違う。人間活動による温暖化が顕著になるのは20世紀中頃からの高々5-60年間で2000年のスパンの1/50に満たない。それよりもはるかに長い周期の地球の太陽との位置関係の変動や地球の火山活動やエルニーニョなど自然環境変化の影響の方が大きい。
トランプ政権がパリ議定書を離脱した根拠はCO2による地球温暖化仮説を否定したとすれば当を得たものと言えるかもしれない。
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