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シカゴ大学の研究グループが、米国の人口の1/3に当たる健康保険の請求者ビッグデータから(128,989家族、481,657人)抽出して、149の疾病を対象に遺伝的及び環境的因子を解析し疾病相関を調べた。大多数に遺伝子因子が認められ、その一部は従来の疾病分類と整合しない新たな遺伝的疾患との類似性が見つかった。(Wang et al., Nature Genetics on line, July 12, 2017)。
研究では米国民の1/3に相当するビッグデータ(健康保険を元にした疾病データベース(Truven MarketScan))が一次データセットに使われた。
ビッグデータから家族の健康保険登録データセッットを抽出し、遺伝子因子と環境因子との相関を解析した。疾病の家系データベースから家系に沿って遺伝子因子で引き起こされる疾病と環境因子による疾病を解析した。
最終的に29の疾病を対象に両親が共通に持つ他の疾病との相関を解析して遺伝子因子による疾病相関を得た。その結果、従来の疾病分類上異なる疾病間に共通の遺伝子的類似性が認められたということは、現在の診断基準の基盤となっている病状や解剖学に基づく疾病分類は不完全で共通の因子による疾患の診断を誤る可能性があることを示唆している。
例えば中枢神経の疾患と考えられていた偏頭痛が遺伝子学的には内臓器官の炎症である過敏性腸症候群に近いことが研究で明らかになった。
特定の疾患に開発された薬剤が、別の疾患にも効果がある可能性を示唆すると同時に、成人病など生活環境に依存する疾患では、予防法に結びつくと期待されている。