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現在はエネルギー密度でLiイオンバッテリーの優位性は絶対的なものとなっている。しかし様々な課題もあるLiイオンバッテリーの代替えとなる高エネルギー密度のバッッテリーが模索されている。携帯電子機器に限ればその候補のひとつがマイクロ・スーパーキャパシタである。
マイクロ・スーパーキャパシタは薄く軽量で、柔軟性に富む高エネルギー密度の蓄電システムである。優れた特性にも関わらず、その製造プロセスは高圧環境やビーム照射を含む複雑な工程で実用化の壁となっていた。
中国科学アカデミーの研究グループは単ステップでエネルギー密度1500mW/cm3、エネルギー密度11.6mWh/cm3)に代表されるマイクロ・スーパーキャパシタの製造技術を開発した(Xiao et al., ACS Nano online June 19 (2017))。
マイクロ・スーパーキャパシタはフォスファレン(注1)ナノシートをグラフェンナノシートに挟み込んで作ることができ、両方のナノシート間の相互作用のため均一な広いサンドイッチ膜ができる。下の図は別グループが作ったフォスファレン-グラフェン接合。
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(注1)グラフェンのような黒リンから剥離される黒リンの二次元膜でインターカレーションで転移温度3.8Kの超伝導が確認されている。フォスファレン膜が蓄電機能、グラフェン膜が骨格を形成し伝導度の高い電極となる。さらにこのマイクロ・スーパーキャパシタは2次元的な構造のため、柔軟性があり2,000回の充放電後の容量が90%である。
また製造プロセスが簡単なので不純物の混入も少ないことも大きな魅力となっている。マイクロ・スーパーキャパシタは携帯スマート機器に要求される電源特性を全て備えているため、Liイオンバッテリーを置き換える次世代バッテリーとして期待が高まっている。