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現在ではほとんどのウエブサイトがデータベースを利用している。例えば大手CMS(Contents Management System)のJoomlaはデータベースを基盤としたコンテンツ管理を行っている。一般にデータベースの参照には時間がかかるため多くのサイトはデータの参照速度の高いいわゆるキャッシュ・サーバーを運用している。GoogleやFacebookなどでは1,000台以上のキャッシュ・サーバーを稼働している。
キャッシュ・サーバーは高速アクセスのためにRAMメモリを多用するが、RAMは高価でまた電力消費量が大きい。このほどMITの研究グループはデータセンター向けにフラッシュメモリベースのキャッシュ・サーバーを開発した。
データセンンターではブレードサーバー、サーバーを冷却設備、サーバーと空調設備の無停電電源装置で大電力を消費する。そのため巨大なデータセンターを電力が豊富な寒冷地に設置する動きがある。下図に示すようにデータセンターの電力消費は増加の一途を辿り、電力不足でサーバーをフル稼働できないデータセンターも増えている。
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1 GBメモリで比較してフラッシュメモリは価格はRAMの1/10、消費電力が5%にも関わらずその記憶密度は100倍となる。とりわけ電力消費が少ないことで現在のデータセンターが抱える電力不足問題を解決できる可能性がある。
フラッシュメモリの欠点を克服
一方でフラッシュメモリの欠点はRAMに比べてアクセス速度の低さで、例えばそのアクセス時間はDRAMの10,000倍となる。しかし端末を前にした人間の感覚ではネットの典型的なリクエスト処理時間0.0002秒と0.0004秒の差は区別できない。MITの研究グループはフラッシュベースのキャッシュサーバーが最初の命令を実行する前に次の10,000命令の実行を開始してしまう「パイプライン処理」を採用した。このため最初の命令実行に200m秒かかったとしても次からの命令実行は0.02μ秒となる。
研究グループはさらにデータセンターのデータベースサーバーと同じように(磁気デイスクを)キャッシュメモリで置き換えたシステムを用いて4.2倍高速な処理能力を得た。またフラッシュメモリの一部(~1/100)DRAMして命令と実行結果のメモリアドレスの対応表をDRAMに書き込んだ。
またフラッシュメモリの高速化と省エネルギー化にはバスラインのデータ転送能力を常に限界性能で行う工夫もなされている。これらの改良でフラッシュメモリベースのキャッシュサーバーは性能を損ねることなく消費電力をRAMベースの4%に抑えた。
このフラッシュメモリベースのキャッシュサーバーはBlueCacheと呼ばれ、データセンターの抱える電力不足問題を一気に解決すると期待されている。