メソポーラスナノ粒子で高性能金属触媒が可能に

23.05.2017

Photo: advancedsciencenews

 

金属触媒は表面積を大きくすることで反応効率を上げることができる。そのため最近はナノ構造を積極的に取り入れることで性能向上が著しい。NIMSを中心とした国際研究チームはロジウム金属触媒の性能を高めるナノポーラス構造体の作成技術を開発した。

 

代表的な水素化反応触媒である金属ロジウムは、比較的扱いやすい温度(400C)で動作し、他の触媒の3-4倍の反応効率を誇る。研究チームは金属ロジウムをメソポーラスナノ粒子とすることで、触媒性能を大幅に増強する技術を開発した。周期律表でルテニウム、パラジウムに挟まれる白金族ロジウム(Rh)は排ガス制御で欠かかせない貴金属であるが、メゾポーラス化で使用する量が少なくできるため、低コスト化にもつながる。

 

 

メソポーラスナノ粒子は自動車の排気ガスや汚染された空気のアルケン(不飽和炭化水素)を水素化して無害化する重要な触媒形態である。今回のロジウムのメソポーラスナノ粒子は、有害な排気ガス(NO)や汚染物質を無害化する技術へ応用が期待される(Nature Comm. 8: 15581 (2017))。

 

これまでシリコンのメソポーラスナノ粒子の応用の一環で金属メソポーラスナノ粒子を作成する試みは報告されていたが、金属ロジウムでは成功していなかった。研究チームは有機高分子(PEO-b-PMMA)を前駆体として球状ミセル化し、還元条件と溶媒を最適化(下図)して自己形成により、メソポーラスナノ粒子を成長させることに成功した。

 

 

 

Credit: Nature Comm.

 

研究チームはナノ粒子を小角中性子散乱で解析し、20nmの球状になっていることを確認した。この方法では有機分子によってメソポーラス化の出発点となる細孔を表面に作成するが、白金、パラジウム、金など他の貴金属にも応用が可能になるため、自動車排気ガスからのNO除去以外にも除染触媒一般に工業的なインパクトが大きいとみられる。