ドイツ銀行を破綻に追い込む訴訟の連鎖:Part 2

03.10.2016

Photo: sbs

 

 デリバティブ取引でドイツ銀行の現職と元幹部6人が、イタリアのミラノ裁判所で起訴された。イタリアの銀行、モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナのデリバティブ取引の損失を別のデリバティブ取引で損失を隠したとする詐欺と横領の容疑である。社員個人の起訴ではあるが、イタリアの法律下では会社側も犯罪の責任を負うことになる。

 

 

ドイツ銀行幹部6人がデリバティブ取引で起訴

 10月1日に、イタリアのミラノ検察当局はドイツ銀行の現職と元幹部を含む6人、イタリアの銀行、モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテパスキ銀行)元幹部5人と野村ホールディングス元幹部2人の計13人を詐欺と横領で起訴した。1215日に裁判が開かれる予定である。

 

 問題となっているのは、モンテパスキ銀行の幹部がドイツ銀行と野村ホールディングスの2社と共謀して、デリバティブ(金融派生商品)取引を利用して損失隠しを行ったことである。モンテパスキ銀行は損失を隠すことで、2008年から2012年の業績を不正に上方修正した不正会計で、粉飾決算と市場操作で起訴された。

 

 2008年にモンテパスキ銀行とドイツ銀行との間の「プロジェクト・サントリーニ」と呼ぶデリバティブ取引における損失を別のデリバティブ取引で隠した。さらに、2009年に野村との間では「アレクサンドリア」と呼ぶデリバティブ取引で別のデリバティブ取引の損失を隠し、これらの件で2013年からイタリア銀行(中央銀行)と司法当局は3社の捜査を行ってきた。

 

 

 

 社員による犯罪の起訴ではあるが、イタリアの法律では社員による犯罪に関して会社も責任を負うことになる。そのため、今回の起訴でドイツ銀行、モンテパスキ、野村も被告となり、同様に起訴されたことになる。ドイツ銀行は、今後さらに司法当局による制裁金や投資家による損害賠償金を要求する訴訟が起きる状況にある。