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トランプ氏が大統領選で勝利してから、抗議デモが全米各地で行われて、アメリカは分断された、二極化されたと報道されている。しかし、全米のトランプ支持率は圧倒的であり、抗議デモは一般のアメリカ国民の考えを反映していない。
分断されていないアメリカ
獲得選挙人はトランプ氏290人、クリントン氏228人で、トランプ氏が勝利を収めた。クリントン氏は一般投票の獲得数では、トランプ氏を22万9762票の僅差で上回る。しかし、各州・群別の一般投票結果を見ても、トランプ氏の支持率は圧倒的である。地図を見ても、地理的に約90%が共和党のトランプ氏を支持、アメリカが分断されているとはいえない。
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一般投票数の差が最も大きかったのはカリフォニア州で、251万8729票である。カリフォニア州はリベラル派の民主党が強い州である。そうして、今回最も反トランプデモが行われている場所である。カリフォニア大学バークリー校やバークリー高校の学生と教職員から始まり、サンフランシスコ、ロスアンゼルス、シアトル、シカゴ、ボストン、ダラス、ワシントンDC、ニューヨーク、ピッツバーグ、ペンシルバニアで反トランプデモが広がっている。
反トランプデモの実態
「トランプ氏は我々の大統領ではない」、「ラブ・トランプ・ヘイト」、「白人優越主義に終わりを」、「トランプを暗殺」、「トランプは人種差別主義者」、「トランプ支持者に報復」などを唱えながら、デモは暴動化している。デモ参加者は、主にリベラル思想教育を受けた学生、都市に住むヒスパニック、アジア系、ムスラム系の若者、不法移民、社会主義・共産主義学生団体、ジョージ・ソロス支援団体のムーブ・オン支援組織、ブラック・ライヴズ・マター(Black Lives Matter)(注1)で、アメリカにおける人種差別、アメリカの二極化はトランプ氏が引き起こしていると考えている。
(注1)17歳の黒人少年トレイヴォン・マーテインが自警団の男に射殺された事件を契機に生まれた運動で黒人が警官に射殺されるたびに各地で大規模なデモを行っている。
歪曲する報道が生んだ二極化イメージ
民主党のクリントン氏を支援してきた主要メディアもこれまで「トランプが当選すれば民主主義は終わる」、「トランプは現代版ヒットラー」、「トランプは移民を強制送還する」、「トランプは白人主義者」、「トランプは戦争を引き起こす」、「トランプに反対する革命が必要」、「トランプは性犯罪者」、「トランプしが当選すればアメリカに希望はない」などと煽ってきた。「アメリカ二極化」イメージの引き金となったのは選挙翌日のクリントン氏の演説である。負けてもなおクリントンのイメージを広げようとするメデイアによって歪曲されたイメージは世界に発信された。
アメリカ国旗に火をつけ、白人、トランプ支持者、警察と暴力的対立を正当化しようとしているが、「アメリカに再び偉大に」、「政治汚職や特殊利権を浄化」をアメリカ国民と約束したトランプ氏に反対する理由にはならないといえる。トランプ氏は10日にホワイトハウスを訪れ、オバマ大統領と政権移行につき初会談が行われた。「トランプ氏はとてもよい男」と発言、円滑な政権引き継ぎに協力すること約束した。反トランプ抗議デモが、ホワイトハウス前でなかったことから国民を巻き込んでの運動ではないことを物語っている。
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