Photo: budapesty
メルケル政権の移民政策で、ドイツは2015年に110万人の移民を受け入れた。その結果、犯罪やテロ事件は増加し、キリスト教文化、習慣や価値観は崩壊危機、社会不安、社会保障費の増大で財政悪化が進んでいる。移民反対の抗議デモがドイツ全域で広がっているが、移民政策は変わらず、2016年4月の時点で、22.2万人の移民がさらに受け入れられた。今では、ドイツ人口の4人に1人が移民と言われる移民国である。
その移民危機から逃れるため、多くのドイツ人はハンガリー、スロベニア、ポーランド、チェコなどの反移民、キリスト教東ヨーロッパ諸国に移住している。1944年のナチスによるハンガリー侵攻から70年後の現在、ドイツ人のハンガリー移動が空前のスケールとなった。1970年代にはハンガリーに避暑に訪れるドイツ人が多く、ドイツ人の侵攻だと揶揄されたほどであった。しかし今回はドイツ人たちは避暑でなく避難が目的である。
ハンガリーにドイツ人コミュニティー
イスラム教移民をほとんど受け入れてこなかったハンガリーには、ドイツ人コミュニティーが既に存在していた。ハンガリー西部にあるバラトン湖は国際的な保養地として知られ、ドイツ人の間でも人気が高く、人口3万人のドイツコミュニティーがある。そこに移民政策に反対で、さらに移民危機が悪化すればドイツ人と移民との対立が内戦に発展することを恐れるドイツ人たちが移住して、人口は大幅に増加している。
Source: Nick Louras Twitter
西から東の移動の波
EUの移民政策の転換、メルケル首相の退陣がない限り、東ヨーロッパ諸国への移住は止まらないとみられる。ハンガリー政府は、今後20〜30年間で数10万人のドイツ、オランダ、スェーデン、フランス、ベルギーからの移住者の移動があると予測している。もちろん、ハンガリー以外の東ヨーロッパ諸国への移住も大幅に拡大するとみられる。人口減少が問題となっているハンガリーにとって、西ヨーロッパからの移住者は人口面だけでなく、経済面でも有益である。
アフリカや中東からの移民は, ヨーロッパの伝統的な生活習慣、宗教基盤、文化を変えつつある。移民が主体となる西ヨーロッパと多文化主義を否定、既存の文化、社会を守ろうとしている東ヨーロッパ諸国、イスラム教とキリスト教とヨーロッパが2つに分断される。