ロシア海軍強化でシリア内戦は終結に向かうか

21.10.2016

Photo: Sputnik 

 

 ノルウェー沖の近くの国際水域で、冷戦以来の最大規模のロシア海軍が地中海に向かって航海していることが19日明らかとなった。北方艦隊の大型航空母艦アドミラル・クズネツォフと巡洋艦、駆逐艦、対潜間、潜水艦など7隻とバルチック艦隊の一部が派遣された。現在、北海近辺でノルウェー海軍、NATO駆逐艦6隻、イギリス海軍駆逐艦に囲まれ、航海中である。シリア政府軍を支援するため、地中海におけるロシアの海軍力を強化するためである。

 

 

 

 空母には、最新鋭戦闘機ミグ29、ミグ29K、スホイ33、巡洋艦のための戦闘ヘリコプターKa-52K、Ka-27、とKa-31が搭載されている。現在、米海軍第6艦隊が配備されている地中海東部のシリア沖に到着後、米露の軍事的緊張が高まる可能性がある。

 

 

 

 ロシアがテロ組織のイスラム国と戦うアサド政権の支援として、始めたシリアでの空爆から1年。ロシア軍の効果的な空爆で、シリア軍はそれまでのイスラム国の支配地域の多くを取り返すことができ、イスラム国の弱体化に成功したといえる。

 

 イスラム国を含むアサド反対派勢力が結集して激戦地となっているアレッポーで、シリア軍がアレッポ制覇に成功すれば、シリア内戦の決着の可能性が高くなる。ロシアはこの最後の戦闘に向け、海軍の派遣で軍事力の強化を果たそうとしている。

 

 

 過激派勢力の排除で、ロシアはシリアからの撤退も可能となる。しかし、問題となるのが、反体制派勢力を支援している米国との対立がどのように解決されるかである。米国・ロシアの代理戦争とも言われてきたシリア内戦が、米露戦争にまで発展する危険性が出てきた。