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世界全体の債務総額(政府、家計、金融機関を除く民間企業の債務)は、IMFによると152兆ドル(1京5640兆円)に増加、過去最大の水準となった。IMFの国家財政の動向を分析する財政モニター報告の発表では、世界の債務状況は増加傾向を続けており、世界経済の成長鈍化と金融市場の安定性を崩すリスクが高まっていると指摘している。
債務総額は世界のGDPの225%で、2002年の200%から大幅に増え続けている。家計と非金融民間企業の民間部門は約3分の2を占め、残りの公的債務と共に増加している。民間債務が高い水準にあるのは、ほとんどの先進国と中国やブラジルなどの複数の新興国である。IMFはそのなかでも、ユーロ圏と中国は過剰債務の圧縮に早急に取り組む事が重要としている。
民間債務の大幅な増加はこれまで幾度も金融危機を引き起こしてきた。民間の過剰債務と金融危機との高い関連性は過去の研究でも明らかである。しかし、通常の景気後退より、過剰債務が原因で起きた不況はより深刻で長く続くとされている。それは、経済成長が鈍化すると借金の返済が困難となり、債務圧縮ができなくなるリスクが高まることで、景気減速の悪化が深刻化していく悪循環となるからである。
Source: The World Bank
低成長状況が続くなか、過剰債務の問題を解決するには、経済成長を押し上げる財政政策と債務再建、金融機関のバランスシートの健全化が必要とIMFは提唱しているが、最早解決が困難な規模の過剰債務の水準にまできている。