移民政策への抗議デモがドイツ全土に拡大

2.08.2016

Photo: beforeitsnews

 

移民によるテロ攻撃で13名の犠牲者が出ているドイツでは、移民寛容政策に反対する抗議デモが大都市からドイツ全域に広がりメルケル首相の退任を求める声が高まっている。ベルリンでは5,000人以上のデモ隊が抗議行動をしたが、その動きが各地に飛びしして、寛容な移民政策に反対する国民が増えつつある。

 

メルケル首相への国民の怒りは最近の2件のテロ事件に加えて新たに難民として入国した男による殺人事件により、急激に高まった。抗議行動が勢いを増す中、メルケルは「暴力を排除すれば寛容な移民政策は継続可能」とであるとして自身の主張を擁護した。

 

しかしメルケルに連携するバイエルン州の政治勢力はメルケルとの離反を明らかにしたことで、議会勢力が弱まるとみられている。バイエルン州の保守党は2015年に受け入れた110万人の難民を管理できないとし、与党のCSU(注1)の党首も反論を繰り広げている。

 

(注1)キリスト教社会同盟(CSU)はメルケルの所属するCDU(キリスト教民主党同盟)とは姉妹関係にあり、メルケル支援に強い影響力がある。

 

 

Source: Globa Research

 

ミュンヘンを州都とするバイエルン州はドイツ最大の州で国内政治にも大きな影響力を持つ。上に示すように難民はバイエルン州からドイツに入国するので難民が滞在し難民申請を待つ。与党党首はメルケルに逆らう訳ではないとしながらも、現実的に110万の難民の対応ができないとしている。しかし結果的にテロ事件の多発には移民寛容政策が背景にあることから、是正を求める意見である。最新の意識調査では国民の83%が移民に対して危機感を持っている。

 

最近のテロ事件は移民管理を強めることを要求する右翼勢力を増やすことになりかねない。現在各地で行なわれている抗議デモはメルケルに解任要求を突きつけて反右翼勢力の動きも活性化させドイツに緊張と混乱をもたらしている。

 

さすがにメルケルも平和な生活を脅かすテロ攻撃を強く非難し混乱の沈静化を目指している。難民による犯罪を予知するためのシステムの整備、軍隊の対テロ訓練の強化、難民認可を受けられなかった人々の強制送還を講じることになった。

 

 

アンスバックの音楽フェステイバルで自爆した犯人は難民認可がされないまま国内に留まっていた。一方でメルケルはトルコとの協力によって今後、ドイツに入国する難民は大幅に減少するとしている。そのトルコはクーデター鎮圧後、大統領の強権が発動され外交面は不透明性が高まっている。